中編 | ナノ

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「んー…校内の見回りだなんて、何が楽しいんだか
マンガじゃあるまいし、滅多に事件とかなんて起きるはずな…」















「…」
「「「すみませんでした…」」」
「はあ、…」



安形は、目の前に広がる光景に、溜息しか出なかった。

はっきり言って面倒なこの見回りを早く終わらせて、後はゆっくり生徒会室でお昼寝でも、と思っていたのに。

何で、わたし何か悪いことでもした?

神様はわたしのことが嫌いなようです。

分かりやすく溜息を吐いて、明らかに顔を歪めた安形は、目の前に正座している三人の生徒を見た。

何故正座なんだろうか。

本人たちなりの反省の証のようだが、自分がさせているようで何だがいたたまれない。



「んー…
まあ、やっちゃったことはしょうがないからね
取り敢えず職員室にでも行こうか」
「…生徒会室じゃ、なくて?」
「…わたしも椿くんにいろいろ言われるの面倒だから、嫌なんだけど」
「そういうことか…!」
「なら、職員室の方が断然ええわ」
[さすが置物会長!
面倒ごとに対しての反応は素晴らしいものだな]
「アンタはアホか!
何でわざわざケンカ売るようなことすんねん!」
「まあね、事実だから別にいいよ」
[…心が広いな]



「別に心が広いわけじゃないよ、興味がないだけ」
『(それはそれで、ひどい…!)』



じゃあ、と歩き出した安形について歩く三人―――――スケット団の三人だったが、ふと気付いた笛吹が声をあげる。



[職員室は反対方向じゃないか…?]
「そういえば、そうだな」
「…会長さん、聞いとる?」
「え?なにが?」
「せやから、職員室はこっちちゃうねんて」
「うん、そうだよ?」



当たり前だと、なんかもうあんたたち何言ってんの?馬鹿?とでも言わんばかりに、安形は三人を見た。

え、どういうこと?



「え?わたしにもついてこいってこと?」
「え?」
「ついてきてくれるんとちゃうん?」
「…えー…」
「めっちゃ嫌そうな顔されたー!?」



顔を盛大に歪めた安形だったが、ふと頭の中に浮かぶ何かが、安形の顔を楽しそうに緩ませた。

な、なんだ。

いきなり笑いよったけど…なんや、笑えば普通に可愛いやんこの人。

絶対に何かを企んでいるようだが。

スケット団の3人は思い思いに考えを巡らせているうちに、安形はそのまま足を進めようとした。



「一緒に来てほしいんなら生徒会室に来なよ」
「え?あんたさっきまで嫌だって言って…」
「久しぶりに真面目に仕事してたのにさ、こっちは邪魔されたわけよ?
おまけにちょっと定例会議の時間過ぎちゃってるし」
[かなり私情を挟んできたな]
「ま、君たち連れてけば、ちゃんと仕事してて遅れましたになるじゃん?
そうすれば、わたしは怒られなくて済むわけよ
はい、一石二鳥ー!」
「いやいやいや、アタシらは教師より達の悪い椿に怒られんのやろ?!
全然得やないッ!!」
「あーあ、気付いちゃったかあ…
交渉決裂だね」



じゃ、わたしは生徒会室に戻るから、職員室に行ってね。



「結局、あんたが関わりたくないだけじゃねーか!!」










爪隠し

会長!とっくに時間は過ぎています!!
…ちょっと、面倒事に巻き込まれてね。
安形にとっては何でも面倒事でしょ?
まあ、そうなんだけどね。