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「んー…校内の見回りだなんて、何が楽しいんだか マンガじゃあるまいし、滅多に事件とかなんて起きるはずな…」
「…」 「「「すみませんでした…」」」 「はあ、…」
安形は、目の前に広がる光景に、溜息しか出なかった。
はっきり言って面倒なこの見回りを早く終わらせて、後はゆっくり生徒会室でお昼寝でも、と思っていたのに。
何で、わたし何か悪いことでもした?
神様はわたしのことが嫌いなようです。
分かりやすく溜息を吐いて、明らかに顔を歪めた安形は、目の前に正座している三人の生徒を見た。
何故正座なんだろうか。
本人たちなりの反省の証のようだが、自分がさせているようで何だがいたたまれない。
「んー… まあ、やっちゃったことはしょうがないからね 取り敢えず職員室にでも行こうか」 「…生徒会室じゃ、なくて?」 「…わたしも椿くんにいろいろ言われるの面倒だから、嫌なんだけど」 「そういうことか…!」 「なら、職員室の方が断然ええわ」 [さすが置物会長! 面倒ごとに対しての反応は素晴らしいものだな] 「アンタはアホか! 何でわざわざケンカ売るようなことすんねん!」 「まあね、事実だから別にいいよ」 […心が広いな]
「別に心が広いわけじゃないよ、興味がないだけ」 『(それはそれで、ひどい…!)』
じゃあ、と歩き出した安形について歩く三人―――――スケット団の三人だったが、ふと気付いた笛吹が声をあげる。
[職員室は反対方向じゃないか…?] 「そういえば、そうだな」 「…会長さん、聞いとる?」 「え?なにが?」 「せやから、職員室はこっちちゃうねんて」 「うん、そうだよ?」
当たり前だと、なんかもうあんたたち何言ってんの?馬鹿?とでも言わんばかりに、安形は三人を見た。
え、どういうこと?
「え?わたしにもついてこいってこと?」 「え?」 「ついてきてくれるんとちゃうん?」 「…えー…」 「めっちゃ嫌そうな顔されたー!?」
顔を盛大に歪めた安形だったが、ふと頭の中に浮かぶ何かが、安形の顔を楽しそうに緩ませた。
な、なんだ。
いきなり笑いよったけど…なんや、笑えば普通に可愛いやんこの人。
絶対に何かを企んでいるようだが。
スケット団の3人は思い思いに考えを巡らせているうちに、安形はそのまま足を進めようとした。
「一緒に来てほしいんなら生徒会室に来なよ」 「え?あんたさっきまで嫌だって言って…」 「久しぶりに真面目に仕事してたのにさ、こっちは邪魔されたわけよ? おまけにちょっと定例会議の時間過ぎちゃってるし」 [かなり私情を挟んできたな] 「ま、君たち連れてけば、ちゃんと仕事してて遅れましたになるじゃん? そうすれば、わたしは怒られなくて済むわけよ はい、一石二鳥ー!」 「いやいやいや、アタシらは教師より達の悪い椿に怒られんのやろ?! 全然得やないッ!!」 「あーあ、気付いちゃったかあ… 交渉決裂だね」
じゃ、わたしは生徒会室に戻るから、職員室に行ってね。
「結局、あんたが関わりたくないだけじゃねーか!!」
爪隠し
会長!とっくに時間は過ぎています!! …ちょっと、面倒事に巻き込まれてね。 安形にとっては何でも面倒事でしょ? まあ、そうなんだけどね。
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