成代 | ナノ









※快彦成り代わり・女主





「だーかーら、お前にはまだ無理だっての!」
「出来るか出来ないかなんて、やってみなきゃ分かんないでしょ…!」
「ダメなものはダメだ!絶対教えてやらないからな!」
「何でお兄ちゃんはいつもそうやって、何でも決めつけるの?!」



何やらわーきゃー騒いでいる声がグラウンド内に響き渡るが、対して部員達は気にしていないようで―――――寧ろ当たり前だとでも思っていた。

声の正体は、木戸川清修では有名な兄妹である。

どう有名なのかは、いい意味でも、悪い意味でもあるので微妙だが。



「…今度は何やったんだ、総介」
「跳沢よお、何で俺が悪い前提なんだよ…!!」
「まあまあ、そうカッカするなよ総介
ほら、なまえもいつまでも膨れっ面してないで、話してみなよ」
「…和泉せんぱい、」



滝総介となまえの兄妹の喧嘩は、誰かが止めないと収拾がつかない。

これは木戸川清修の常識である。

どんな常識だ、いや、これが常識である。

いつもはキャプテンの貴志部が止めに入るのだが、監督と何やら話しているらしく、今回は和泉と跳沢が来たようだ。

もうこの時点で、三対一の状況になったのは言うまでもない。



「なまえが、」
「お兄ちゃんが…!」



事の発端は、なまえが総介に必殺技を教えてくれと頼んだことである。

同じポジションであるが故に、ライバル意識のようなものもあるのだろうか。

いや、それ以前に総介はなまえがサッカーをすることを日頃から嫌がっているのだから、わざわざ指導なんてやりたくもないだろう。

嫌がっているその真意がなまえに伝わっているかは別として。



「…総介、教えてあげればいいだろ」



勿論、三対一の一は総介である。



「なんでだよ!やっぱり俺が責められるのかよ!!」
「…責めてるわけじゃない」
「悪いのは総介だから、当たり前じゃないかな」
「和泉まで…!」



なまえは背が小さいし、女の子である。

だからと言っていつも総介は、自分と同じ扱いをするのを嫌がっていた。

そりゃあ、頑張ってる姿はか、かわいいけどよ…!

怪我でもしたらどうすんだよ!

はい、総介はシスコンです。



「だってよ、ギャロップバスターは化身シュートだぜ?
化身すら出せねえこいつに出来るわけないだろ?」
「が、頑張るもん…!」
「!
ダ、ダメなものはダメなんだよ、いい加減にしろ!」
「「(今絶対総介のヤツ揺れたな)」」



ただの兄妹喧嘩ならよそでやれ!と追い出してしまえばいい。

でも滝兄妹はいがみ合っているわけではなくて、お互い純粋に相手が大切なのである。

尊敬する、兄。



「だ、だってお兄ちゃんがやるとすっごくかっこいいから…!
出来るようになりたいんだもん!!」
「「(あ、こりゃダメだな)」」



大切な、妹。

純粋っ子なまえには悪気はない。

でも、



「そーいうのを無自覚にやるなバカ野郎!!」
「?!」
「総介、なまえが怖がってるよ」
「本音漏れてる」
「お、お前らも簡単になまえを甘やかすなよな!
だからいつまでたっても甘ったれなんだ!!」
「?!!」
「一番甘やかしてるのは総介だよ
まあいいじゃないか、やらせてあげなよ
でもなまえ、最初から難しいヤツはやめておこうね、ちゃんと段階を踏んでいかないと総介みたいにはなれないからね」
「キャプテン…!
わ、わたし頑張ります!!」



あれ、いつのまに帰ってきたのキャプテン。

にこにことあやすようになまえの頭を撫でている貴志部、いいとこ取りとはまさにこのことである。

なまえ、超笑顔じゃん。

マジかよー!

総介哀れ。



「貴志部…お前、!」
「キャプテンのこと酷く言うお兄ちゃんなんて嫌い!」
「!!」
「「(もう総介ダメだな)」」










悪いね、お兄ちゃん

(くそ…!
おい、ちょっと待て貴志部…!)
(なまえ、今日は自由練習になったんだ
だからちょっとずつでも、はじめようか)
(はい!)
(貴志部ー!!)







2012夏企画、稲妻天女さまへ
落ちというより、大半が総介っていう…
リクエストに全く添えてない感じがして…すみません。
正直な話、木戸川は全然分からなくて…ウィキさんだけでは口調とかまではわかりませんでした(m´・ω・`)m
この度は企画に参加して頂いて、感謝しています!
こんなにマイペースな管理人ですが
これからもコロナをご贔屓にしていただけるとありがたいです!
2012夏企画:稲妻天女さまのみフリーでした!

12_12_16






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