※雪村成り代わり2・女主
白恋中サッカー部からの強い申し入れから、雷門中サッカー部との合同練習が実現した。
円堂監督や鬼道コーチの知り合いの吹雪士郎さんが監督をつとめる白恋中サッカー部。
以前の試合でも学んだことはたくさんあったが、折角のチャンスを逃す訳にはいかないと、積極的に協同練習を頼んだり、プレーを観察したりと、かなり充実した練習が行われて、現在2時間程経った。
「さすが全国の強豪校
一回勝ったことがあるにしても、強いな」
「ああ、学ぶことが多い」
「…、ッ!」
「ん?今、何か……」
霧野と肩を並べて、休憩をとっていると、何処からか聞こえた声に辺りを見回してみたが、何もない。
「どうかしたか?神童」
「いや、何でもない
気のせいだったみたいだ」
「…今日の練習、いつもに増してハードだからな
疲れてるんじゃないか?」
「ああ、そうかもしれないな
しっかり休んでおくか」
「そうしろよ
神童はいつも無茶ばっかりするんだから」
「はいはい、分かりました」
霧野と談笑しながら、練習で掴んだディフェンスのポイントを振り返って、雷門ならば誰をどう使うか考えを纏めていく。
ちょうどそれがまとめに入ったくらいに、
「…だ、大丈夫ですってば!
吹雪せ、…監督!」
「ダメだってば、いくら痛みがないからって、後から大事になることだってあるんだよ?
特に雪村は女の子なんだし……!」
大きな声で話しているのは、白恋中サッカー部エースの雪村なまえと、吹雪さん。
あ、さっき聞こえた声と雪村の声、似てるな。
話しているというよりは、もめているように見える光景に、霧野と首を傾げた。
そんな時、近くで休憩していた白恋イレブンがぼそりと呟く。
「あーあ、また始まったよ」
「また?」
その呟きを拾ってしまった俺の方を見て、少しだけ困った顔をした白恋イレブン。
な、なんだ。
やっぱりもめてるのか?
「あれはもめてるっていうより、吹雪監督が過保護なだけだよ」
「雪村もちょっと自分のことに鈍いところがあるから、しょうがないって言えばしょうがないけど」
「どういうことだ?」
簡単に言えば―――――
「吹雪監督がロリコンだってことだよ」
そうに言われて、その真意がよく分からなかった神童だったが、見てれば分かると言われて。
言われた通りに吹雪さんと雪村の方を見ていると、贔屓というか―――――寧ろ恋人同士かにも見えるような光景に目を疑った。
な、なんだあれ。
「雪村、今のシュートよかったけど、手ついたよね?大丈夫?」
「ちょ、ちょっと今のはファウルだよ!雪村に当たったでしょ!」
「あ、あれは……」
「彼氏面半端ないな」
俺の隣で溜息を吐いた霧野を見て、ああ、俺の考えは間違ってなかったのかと思った。
白恋イレブンに聞けば、普段からああなのだと。
雪村に怪我をさせようものなら、地獄を見ることになると。
そ、そんなことがあったのか、と若干恐怖にも似た感情を抱いていると―――――
「ねえ、一緒にパス練やってくれませんか?」
「あ、うん(…何で俺?)」
「狩屋……面倒なことにならなきゃいいけどな」
白恋イレブンは地獄を見たくないからと、雪村とのパス練を極端に嫌がったため、近くにいた狩屋が誘われていた。
霧野の言葉の真意を汲み取って、狩屋を見守りながら霧野とパス練をしていると、狩屋からのパスがぽろっと零れた。
「あ、ごめん…!(そんなに強くやってねぇんだけど)」
「わたしこそごめんなさい!取ってきます!」
雪村がボールに向かって走りだした時、ベンチ付近で監視するように二人を見ていた吹雪さんが、口を開いた。
「雪村に走らせるなァアア!」
「「「それは理不尽だろ!!」」」
狩屋も自分が誘われた意味が分かったのか、俺と霧野と同じことを思ったようだった。
ゼロスウィート(吹雪さんが雪村の絶対障壁だな)
(………そうみたいだな)
((なんか俺、巻き込まれた…?!))
遅くなってしまって、申し訳ありません!匿名希望様へ!
嫉妬っていうより過保護になってしまいました!
なんか、もう管理人には雪村がよく分からない…自分のせいですね、
前サイトの3周年企画:匿名希望様へのフリーでした!
お題:alkalismさまより
12_04_12
《戻る》