※狩屋成り代わり・女主
「狩屋って、本当に男なのか?」
「え、………いきなり何ですか先輩、」
「変なこと言わないでください」と苦笑する狩屋なまえ。
その表情を見て、霧野ははっと驚いた。
あれ、もしかして声に出てたのか。
「そ、そうだよな……
何言ってんだろ、俺」
霧野は「すまん、忘れてくれ」と言って、気まずそうに俯いた。
その姿を見て、なまえは首を傾げた。
何なんだこの先輩、いきなり絡んできたと思ったら、変なこと言って。
表情は変わっていないが―――――狩屋なまえの内心は穏やかではなかった。
自分よりも女みたいな先輩に言われたくない、と返そうと思ったが、わたしは彼―――――狩屋マサキではないし。
狩屋なまえには、この世に生を受けた時から、怖いくらいに自我と記憶があった。
生まれてすぐの頃は、それこそ前の人生が終わってしまったことが受け入れられなくて。
不安なのか恐怖なのか、分からない気持ちがただただ胸の中を渦巻いていた。
やっと状況を飲み込むことが出来て、普通に生活出来るようになった頃、なまえはまたなんとも不思議な事実を知った。
―――――わたしは、狩屋マサキに成り代わったのだと。
珍しい名字、髪の色。
まさかとは思っていたなまえだったが、それが確信に変わったのは、彼がかつて辿った人生のように、自分がおひさま園という施設に預けられた時だった。
前世(になってしまったのが悲しい)の両親しか知らなかった自分でも、やっぱりこの世の両親も両親なわけで。
別れはそれなりに悲しかった。
その後のことは、なまえの記憶の通りに進んだ。
そう、自分がマサキではなくなまえで、男ではなく女であることを除いて。
それと、もう一つマサキとなまえには違うところがある。
「ねーねー狩屋ー!
今日帰りにみんなでマックよるんだけどさ、行かない?」
「今日?
………んー、(正直めんどくさいし、園のご飯の方が美味しいしなあ)」
「なに行こうとしてるんだよ」
「え?
………何ですか霧野先輩」
「悪いな、狩屋は今日俺と帰るんだ」
「(え?)」
「あ、そうだったんですかー!
じゃあまたね、狩屋」
「え、」
とまあ、そんな不思議な流れで冒頭にいたるわけだが。
そう、狩屋マサキと狩屋なまえの違いは、嘘である。
マサキは猫かぶりをして、嘘をつくことで有名だったが、なまえは嘘をつかないのである。
理由は簡単。
わたしは狩屋なまえであって―――――狩屋マサキではないのだから。
マサキの場合、素直に人を信じることが出来なくて、弱い自分を守る為に嘘をついていたのだろうとなまえは思っている。
でもマサキではなくなまえには、ちゃんと仲間がいる。
だから、不安になることはない。
でも、嘘を全くつかないというわけではない。
ただ、つくならばそれは軽いものではなく、
―――――全力でやるのである。
「別に、気にしてないですよ
よく言われますから」
「………」
「それにしても、どうしたんですか?
俺、霧野先輩と帰る約束してましたっけ?」
「!」
なまえが、未だに俯きながら隣を歩いている霧野に視線をやると、何故か大袈裟な程、霧野の肩が上がった。
何だ、聞いちゃまずかったか?
でも、わたしは無理矢理に近い形で霧野先輩と帰るハメになったんだから、理由くらい教えて貰えなきゃ埒があかない。
「いや、その……二人きりで話したこと、なかったなあって思って、さ」
「へー…?」
「わ、悪かったよ、いきなり連れ出したみたいな感じになっちゃってさ」
「あー、それは別にいいですよ
ちょうど断ろうと思ってたとこでしたし」
「そうか…」
隣を歩いている狩屋を気にするように、ちらちらと見ている霧野は、どうも腑に落ちない顔をしていた。
何に、それは自分の先程の発言にである。
なまえを見ていると、普段こそは普通に活発な男の子に見えるのだが、さっきみたいに大勢と話す時に控え目なところとか、人に対してて気を遣うところとか。
どう見ても、女の子にしか見えない時があるのである。
「……あ、先輩これから何か用事とかあります?」
「え?
あ、いや…特にはないけど」
「じゃあ、ちょっと付き合ってくださいよ」
付き合うと言う単語に過剰に反応してしまった霧野は、さっき先輩のワガママ聞いてあげたんですから、今度は俺のワガママ聞いてくださいよという狩屋の言い分が、どうしても彼氏彼女のやり取りにしか聞こえなくなってしまって。
舌に芽吹く(つ、付き合うとか、…だから俺と狩屋は男同士だろ?!)
(ちょ、まだその話引き摺ってたんですか?(この先輩めんどくさいなあ…))
それでこの後二人でケーキ屋とか、ファミレスでパフェとか食べに行ってたらかわいい。
そんな狩屋に霧野が悶えてたらなおかわいい。
すみません、かなり俺得でした(;^ω^)
知識有りにすると、何故暗くなるんだろうか…
はい、管理人の文才がないだけです本当にすみません…
内気にするには、しゃべらない→うそつかないに結びついてしまいました
霧野ははたしてこんな子に惚れたんだろうか(;^ω^)
お待たせしてしまいました、ごめんなさい
宜しければ貰ってやってください!
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お題:alkalismさまより
12_03_19
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