成代 | ナノ









※ルフィ成り代わり・女主





物音が聞こえた訳でも、嫌な予感がした訳でもないが、なまえは真夜中に目が覚めた。
普段は誰かに起こされるまで、絶対に目を覚まさないなまえ。
ベッドから起き上がったなまえに、読書をして起きていたロビンが声をかけた。

「どうしたの、船長さん?」
「……喉乾いた、
水、飲んでくる」
「そう‥」

布団から出ると、足の裏から直に伝わってくる夜の寒さに、思わず自分の身体を抱き締めた。
なまえがいつも寝る時に着ているのは、ナミからのお下がりである服。
いろんな部分が大きくて、普段着には出来ない服だから寝る時に着ているのだが、露出が多いため、布団から出ると腕にも背中にも、もちろん前からも寒さが襲ってくる。
寝起きだからなのか、ロビンから手渡された毛布を受け取ると軽く頷いただけで、なまえは部屋を出ていった。
そういえばさっきも片言だった。
本当の行き先が分かっていたロビンは、どことなく何かを企んでいるような顔を一瞬だけしていた。





気持ちはキッチンに向かっている。
しかし足はどんどん上へ向かって行く。
マントのように肩にかけた毛布をずるずると引き摺りながら、どうして上へ向かっているのか自分でも分からなかった。
寝起きの頭はまだふわふわとしていて、なまえは見張り台の近くに来て、そこに見えた緑色に気が付いた。
あ、今日ゾロなんだ。

「ゾロー?」

返事なし。
見張りなのだから、寝ている訳じゃあないだろうけど。
呼んだけど、特に目的はありません。
しかし、なまえは何故か吸い寄せられるように、見張り台へと向かった。

ゾロの背中に向かって、なまえはもう一度声をかけた。

「ゾロー?」

また返事なし。
後ろから覗きこんで見ると、ゾロの瞳は真っ直ぐに水平線を見ていた。
なんだ、起きてるんじゃん。

「もう、無視しないでよ」
「……なんだ、そんな寒い格好して」
「…えいっ」
「うおっ?!!」

自分の毛布を放って、なまえはゾロの胸に飛び込んだ。
俺のに入れろって?
ゾロあったかーい!
ったく…

「で、どうしたんだよ」
「んー、水飲みに来た」
「………真逆だぞ」
「知ってるー」

ゾロと向かい合うように抱き付いたなまえは、堅いその胸板に顔を埋めた。
うん、いつ見てもナイス腹筋。
かったいね。

「何ニヤニヤしてんだ」
「え?うそ、顔に出てた?」
「声にもな」
「え、……」

ヤバイ、怒られる。
思わず身構え、目を瞑ったなまえだったが、一向にやってくることのない痛みに、恐る恐る目を開けてみる。
すると、頭に来たのは強い衝撃ではなく、優しい衝撃だった。
ぽんぽんと一定のリズムで刻まれるそれは―――――

「子ども扱いしないでよー!」
「オレからすれば、お前なんてまだガキだ」
「むー!
二個しか違わないんだぞー!」

寝付けない子どもにするヤツだった。
あー!なんか目、覚めちゃったー!
逆に目が覚めたなまえは不機嫌だと言わんばかりに、自身の頬を膨らませた。
そーいうのがガキだっつーの。
ゾロがぼそりと呟いたそれは、地獄耳な船長には届いたようで。
軽く、殴られていた。
仲間だからね!本気じゃないよ!
一割くらい。

「あとの九割どうした」
「んな?!
勝手に心読まないでよ!」
「お前の場合、だだ漏れなんだよ!」
「オーマイガー!」

夜中にも関わらず、ハイテンションななまえに、ゾロは溜息を吐きながら、優しく背中を擦った。
む、まだ子ども扱いするのか!
口を尖らせて抗議するなまえに、ゾロは構わずに続ける。

「こんな夜中に熱くなるなよ
寝れるときに、ちゃんと寝とけって、船長さん?」
「………」

その言葉が合図になったのか、なまえはどことなく襲ってきた眠気に誘われ、無意識に瞼を閉じていた。
ゾロに向き合うように一緒に毛布を被っていたなまえは、そのままゾロに抱きつく形で、寝に入った。
どうやらなまえの負けのようだった。










全ては何文字で伝わるだろう

(安心するから)
(求めてしまう)












ワンピースは好きですが
漫画を揃えるほど詳しくないので…
多少の変なところは見逃してやってください!



お題:alkalismさまより


12_01_28


21_09_10
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