※豪炎寺成り代わり・女主
「豪炎寺!」
「………なに?」
にこにこと、太陽をも思わせる眩しすぎる笑顔で声をかけてきたのは円堂守。
わたしが生きているこの超次元な世界の主人公。
―――――わたしは、豪炎寺修也の成り代わり。
“炎のストライカー”の異名を持つ、才能に満ちあふれた少年に生まれる、はずだった。
運命とはまた、不思議なもので。
女として生まれても、“豪炎寺修也”は“豪炎寺修也”らしく、わたしは“彼”に匹敵する力を持って生まれたらしかった。
しかし今の“わたし”は性別上の違いもあるからか、わたしの知る“豪炎寺修也”とは違い、並みならぬ努力が必要だった。
ライセンスの取得。
女故にサッカーをすることは、父親には特に反対された。
でも、“わたし”がいないと、ストーリーは進まないわけだから。
やるしかなかった。
お陰様で、今の“わたし”には、女の要素は何一つない。
脚、腕、腹筋、鍛えられた身体は、太陽に愛された故に、小麦色に眩しく光る。
髪はギリギリ肩にかかる程のショートで、運動の邪魔になる前髪は、ピンで上げている。
極め付けに、運動には邪魔になるだけだからなのか、胸はあまり発達しなかった。
寧ろ、食べたものは全て筋肉やエネルギーに変わるから、脂肪はつかないのだ。
「サッカーやろうぜ!」
知っていたとはいうものの、“妹”が死んだように眠り続けていることを自分の目で見てからは、“彼”のように己が崩れていくのを感じたし。
女だからサッカーは出来ないって、なめられたこともあるからか、人一倍プライドが高いし。
関わりにくいひねくれた性格をしているのに、円堂はかつて“彼”を目覚めさせた時のように、わたしの心をも洗ってくれた。
そして、そんな彼に見守られ育ったチームも、日溜まりのような暖かさで、わたしを包み込んでくれるのだ。
きっと女として見られていないだけなのか。
それとも、原作以上にいろんな人に好かれているのか。
ひょんなことに人脈が広いわたしは、無口のキャラクターを貫いてきたのにも関わらず、円堂守に劣らないくらい、周りに人がいつもいた。
おかしいなあ、“彼”って、こんなに愛されるキャラクターだったっけか。
「円堂、なにいってるの」
「うん?
俺、変なこと言ったか?」
「………今日、部活ないよ」
「えぇぇえ!」
「だから、わたし帰る」と、軽くあしらうように円堂に言い残して、わたしは席から立ち上がった。
HRが終わった瞬間に、驚くべき速さで、わたしの席までやってきた円堂は、いつも通りに、その魔法の呪文を呟いた。
帰り支度に追われて騒がしい教室内に、円堂の叫びがこだまする。
わたしは注目を集めた円堂のことは関係ないとでも言わんばかりに、円堂に構わず教室から去った。
今日は職員会議があるから、授業も短縮で早く終わると、朝担任が言ってたのに。
「あ、ちょっと
待ってくれよ、豪炎寺!」
大きな声と共に、迫ってくる大きな足音。
どうせ、今日も君は1人で特訓するんでしょう?
部員達が、無理のしすぎでいつか身体を壊すんじゃないかって、心配してること、知らないでしょう?
気がつかなくていいことまで分かってしまうわたしも、気がつかなすぎて困り者の円堂も、どっちもどっちだけど、わたしたちは自他共に認める「サッカー馬鹿」である。
だから、わたしもこれから練習をする。
円堂程、みんなにバレているわけじゃないけれど、ほぼ毎日やっている。
やらなきゃ。
やらなきゃ、身体がウズウズしてしょうがないから。
「待ってくれよ、豪炎寺!」
「わたし忙しいの」
「一緒に特訓しようぜ!」
「ねぇ、円堂‥ちゃんと聞いてた?」
「ごうえんじぃー〜」
「………、」
円堂なんて構っていられないから、わたしは早足で帰路につく。
早く、早く、ボールに触りたい。
「なぁ豪炎寺!」
「………円堂、」
「うん?なんだ?
……あ、一緒に来るか?!」
「くどい」
ぐさっ
呼吸しない愛男子にも女子にも
モテモテだったらいい
スパッツ常備の、ミニスカートで
パンチラ多めだったり(笑)
鈍感だともっといい
無自覚にみんなを傷つけてるけど
みんなの豪炎寺さんだから大丈夫(´`)
お題:alkalismさまより
11_04_14
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