5 私が後をつくのも不機嫌そうに見ている青年。 そりゃあ護衛ですから。 「だから、なんて呼べばいいんだ、青年」 「青年は止めてほしい」 そうか、気に入ってたのに。 「…どうせまたすぐ変わるんだろう」 ぼそっと聞こえないように呟いたつもりだろうが 丸聞こえだ。ま、私が地獄耳だというのもあるだろうが。 「そこらの口だけのヤツと、一緒にしてもらっては困る 私は一流の殺し屋だ」 味方についたことに、嫌でも感謝するさ、その内にでも。 と付け足せば、訳が分からないと言う。 「青年は素直じゃないな 人を信じるのも、大事だぞ?」 部屋に着いたらしく、扉を開け無言で鞄を下ろした青年。 着替えだろう、後から来た私は扉を閉めて背を向ける。 背を向ける時に、驚いたような表情をしたのは 見逃してはいないぞ? 「それなりの礼儀くらいは、ちゃんと持っているぞ?」 「当たり前だ」 人の着替えを見たって、楽しくも何とも無いしな。 まったく、私を何だと思ってるんだか。 初対面の人でも、そこまで警戒しなくたってよかろうに。 ふぅ、と溜息が出れば、青年の視線を感じた。 |