65 いつも通り、有人は朝練に行くわけだから、私も必然的に部活に参加し監視をする。 綱吉(と言っても私もだが)は日中は学生をしているため 毎晩徹夜で本業の書類事務(だけで勘弁してもらってるから量が多いが)をやっているから、朝が半端なく弱い。 その為というか、私とは違って綱吉はボスな訳だし 正規の担当は私なわけだから、と今は私だけが仕事中である。 まあ、この後綱吉は贅沢に車で来るんだろうな。 別にムカついたりなんてしてないさ、決して。 有人と親しい仲の人は、護衛だと知っているから普通に接してくれているけど 今は生徒として、なわけだから、若干何しに来たくらいの視線を集めてしまってはいるが。 怪しい気配はない。 おかしいな、いつもなら二勢力くらいは必ず居るというのに。 「鬼道、パスだ!」 「…、シュートだ豪炎寺!」 ピッチ内の有人は味方からのパスを受け取り、豪炎寺青年のアシストをした。 回転しながら飛び上がった豪炎寺青年の身体は、綺麗に着地した。 もちろん、華麗にシュートが決まった後だ。 朝から元気だなあ。 そして思った。 「豪炎寺青年って、長くて言いにくいから修也でいいか?」 「?」 「おいファーストネーム、勝手にピッチに入ってくるな」 「しょうがないだろ有人 言いにくかったんだ」 「はあ、…お前のマイペースさには惚れ惚れするよ」 「どうも」 どうせ目立つならとことん目立ってしまえ、と自棄になった私と 有人が軽く漫才のようなやり取りをしていると、ポーカーフェイスに不思議そうな目を浮かべた豪炎寺青年は、短く「構わない」と答えてくれた。 やべえ、かっけーぞこいつ。 なんかときめいた。 「ありがとな 私のことは好きに呼んでいいぞ」 「ああ、分かった」 「………やべえ、修也まじでかっけーわ 尊敬する」 思わず修也の頭を撫でると、隣で有人が顔を歪めた。 「ああ、ごめん ポーカーフェイスには弱いらしいんだ、私」 キャラ崩れして、悪かったな。 綱吉、今私人生初の謝罪文書こうと思った。 |