63 朝のSHR前、少し離れると有人に伝え、荷物を持って職員室に行く前に着替えを済ませる。 うわあ、ぴったりだ。 流石、綱吉が頼んだ業者に採寸させただけある。 トイレの鏡で確認し、癖で跳ねる髪をせめてものあがきで水で抑えて、準備万全。 さあ、行こうか。 「まあ、みんな知ってるとは思うが 転校生が来たぞー しかも二人だ」 騒つく教室。 有人は何を考えてるんだろうな。 私のこと、遅いとでも心配してくれてるだろうか。 うわ、今何考えたんだ私は。 気持ち悪い。 気を取り直して、私達と教室とを隔てる扉を開けて、教室内へと足を踏み入れる。 「…沢田、綱吉です イタリアから来ました 元はジャポネーゼです」 仕事用の笑顔を貼りつけた綱吉に続いて、顔を上げて前を向く。 「事情により、正式にここの生徒になった ファーストネーム=ファミリーネームだ 国籍はイタリア 英語、イタリア語、フランス語、スペイン語、ロシア語、中国語…あと何だったかな 大抵は喋れる 日本語は……………まだ勉強中だ。」 一つボケ(そんなに喋れるのに勉強中かよ!みたいな感じだ)をかますと、有人が席から立ち上がった。 驚きを隠せない様子で、周りも驚いて有人と私を見ている。 「改めて、宜しく頼もうか 鬼道くん?」 さあ、学生生活の始まりだ。 |