61 明朝、 今日が生徒兼護衛じゃなく ただの護衛としての、最後の登校になるわけだが 「……綱吉、」 「なに?」 「その手は、なんだ」 「なにって…」 ―――――ダメ、の手だけど? マスターに新しく与えて貰った部屋に寝ていたはずの綱吉が 着替えも済ませた私の腕をかっちり掴んで 頑なに私の登校を拒むのだ。 何だよ、最後なんだから。 特別思い入れがあるわけじゃないけど、昨日は有人に着いてやれなかったんだから 今日くらい、真面目に仕事をしようと思ってだな… 「書類整理をするんだ」 「…手伝えと?」 「ファーストネーム=ファミリーネームさん絡みでね、たーっくさんあるんだけどなぁ?」 「……了解致しました、ボス」 半分脅しじゃないか、 なんて言ったら確実に明日の朝日を拝めなくなるので(ジャッポーネの言葉だって、隼人に聞いた) やめておいた。 交渉の末、有人の昼食を作って、見送りだけ済ませること(だけはなんとか許可を貰った)私は いつも以上に気合いを入れて昼食を作り、有人に持たせた。 |