56 トレイズは、昔ソンニョファミリーで、人体実験をやられていたらしかった。 だから、自分のファミリーが滅ぼされても、マフィアが憎かった。 恐かった。 だから、いつ何時も恐怖に怯えていた。 誰かに、助けてもらいたかったんだと思う。 それを瞬時に見破った綱吉は、やっぱりすごい。 だからといって 「なんでまだ居るんだ?」 トレイズとの戦闘から一夜明けた今日。 体調が抜群に悪かった私の代わりに、ボンゴレの誰かが有人に着いていってくれたらしいから 私は、鬼道邸の自身の部屋で、情けなく休養をとっていた。 「ファーストネームに連絡することがあってさ」 「私に? 昨日のことでの苦情は受け付けないぞ」 「違う、別の話」 私が寝ているベッドの端に ドガッと偉そうに座った綱吉は、自慢気に話始めた。 「俺とファーストネームは、来週から鬼道有人と同じ高校に通うことになったから」 「はぁ?!」 「護衛のしやすさを配慮した」 「別に今までどおり、付き添いの形でいいじゃないか」 「昨日、トレイズは復讐者に引き取ってもらったけど 依頼者は捕まっていない」 マフィアに頼んでまで鬼道有人を狙うヤツがいるんだ。 今までみたいにやるよりは、 生徒になれば、自由に校舎内の出入りが出来て、より近くに居られる。 俺たちもこちらの方が都合がいいだろ? 「だからって、なんで綱吉まで 仕事が溜まって師匠に怒られても、私は知らないからな」 「大丈夫、これ提案したのリボーンだから 鬼道さん家に下宿って形だけど、ちゃんと許可はとってあるから」 学校というものを知らないファーストネームに、教えてやりたいんだ。 そんな、綱吉と師匠の優しさは、その時私には伝わらなかった。 |