52 私が放った三発の弾丸を、器用に避けたトレイズに向かって 匣から勢いよく飛び出したリュカは、前脚で器用に蹴りを入れた。 「いたいなあ」 「リュカ、ミストフレア!」 着地したリュカは、一発遠吠えのように吠えた。 耳をつんざくような、衝撃波で出来ている、大きな音だ。 大抵の敵は、この音にビビって立ちすくむのだけど。 トレイズは、ダークサイズを円を描くように一振りし 炎で盾を作ったらしく、平気のようだった。 「ボク、この衝撃波きらいなんだよねえ」 「前はこれで一発だったからな」 「同じことはつーよーしないよん」 まだ余裕があるらしいトレイズは、あの怪しい笑い方で笑い ダークサイズを振り回した。 「ダークボム、versionソンニョ!」 「versionソンニョ?」 ダークサイズは元々、ソンニョファミリーが使っていた匣じゃない。 だから、versionソンニョってのは、トレイズが―――――もしくはソンニョファミリーが改良した技。 もしそうならば…… 「危ない、避けろリュカ!」 「あれ、もうばれたの?」 ソンニョファミリーが潰された理由は―――――人体実験を行い、人をヒトでないものにしたから。 どうやらあのボムを受けると、マインドコントロールを許すことになるらしい。 |