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何度も何度も
ナイフを幻術で創られた世界の壁という壁を傷つけ
攻撃を繰り返すも、見える世界は変わらなかった。
どうやら、トレイズは薄い幻術の幕のようなものを、幾重にも重ねて、世界を創りだしているらしかった。
ひとつひとつは小さいというべきなのか
幻覚の大きさ、規模は小さい。
しかし、レベルの高い幻覚だから、持続性がない分 数で補おうとしているのだろう。
それがまた、余計に厄介だ。
―――――くそ、やりにくいな。
「ボクだって、せいちょーしたんだよ?」
「……そのようだな」
―――――さあ、この幻術
どう破る?
そう、無言の挑戦状をつきつけられたような気持ちだった。