44 私がベストから取り出したのは、ゴーグルタイプのディスプレイ。 綱吉でいうコンタクトのようなもので、オペレーション機能こそは無いものの、センサーで探知したり出来る。 「おやおや?そんなもの使っちゃうのかな?」 「悪いか、念には念をだ」 「念入りだねえ それとも、ただの臆病? でーも、ボクを見つけることは無理かな」 にひひっと再び聞こえた笑い声は、やけに近く聞こえて。 反射で後ろを振り返り構えた右手に、かたい金属が当たったような鈍い音がした。 「だからいったじゃーん ま、その銃が無かったら、致命的だったねえ」 「ぎりぎりセーフ、ってとこだな」 「次はあてるよーん」 愛銃で受けたのは、ヤツの武器である薙刀。 大振りな武器であるからか、音はよく聞こえたからいいものの 半端無い攻撃力で、反射で取出し構えた愛銃・M1911A1のボディに傷がついてしまった。 つか薙刀とか、なんて古風な。 「先手必勝?」 「やられたらやり返す、それが私のポリシーだ」 「はうあッ?」 どや顔で、薙刀を握り締め立っていたトレイズに 私は足払い、側転からの蹴り、右フックとコンボを決めれば、あっという間に倒れてしまった。 「あちゃあー」 「拍子抜けだな」 「もーう、ボクが体術苦手なの知ってるくせにぃ」 怒ったぞ、と言い残したトレイズは 普段は開いていないはずの、アーチのハッチを開けて 夜空へ飛び出していった。 まあ私からしたら、障害物の少ない場所へ移動してくれるのなら、嬉しいのだけど。 |