41 ソンニョファミリーは、その名の通り―――――夢を名乗るのに相応しいファミリーだった。 幻術使いのほとんどが、ソンニョファミリー出身者というほど。 しかし内部の教育方針は、まったくと言っていいほど謎に包まれている。 唯一分かっているのは かつてのエストラーネオファミリーのように―――――人体実験を行っていたという事実が判明し、ボンゴレの手によって四年前に滅ぼされたという有名な話だけだ。 「ねえファーストネームさん、今あいてる?」 「…何の話だ」 「分かってるくせにー あの人は明日って言ってたみたいだけどさあ」 ―――――ボク、待ちきれないんだよね。 「…雇い主は誰だ」 「それを話したら、ボクが不利になるじゃん 内緒だよ★」 「お前………」 「ん?」 けらけらと愉快に笑うトレイズは、わざと周りを映さないようにしているのか。 ディスプレイにはヤツの顔しか映っていない。 ヤツはソンニョファミリーが消滅してから、ヴィンディチェが破壊したはずの かつてのソンニョファミリーの実験器具を使って 悪事を働いていた―――――ちょうど一年前、私がボンゴレに入ってすぐに仕留めた相手だ。 あの時は綱吉の命令で、息の根は止めなかった。 かつての同盟ファミリーだからと、施設での再生を計らってくれたからだ。 「お前…、まだ懲りてないのか」 「あの時はボク、子供だったからさあ へなちょこだったけど」 ―――――今は、絶対負けないから。 そう言い残し、トレイズとの回線は途切れた。 その代わりに、真っ黒のディスプレイに白い文字が映し出された。 どうやら決戦は、今夜のようだ。 |