33 「…どうした」 「何がだ?」 ―――お前、昨日からおかしいぞ。 「夜、風呂に出ていってからだ 何かあっただろう」 「………さぁ、」 まさか、まさか有人にバレているとはな。 あれからいつも通りに振る舞い、朝食を作り、支度をしていた。 きっちりいつもと同じ時間に、有人は着替えを済ませ、食堂に現われた。 気を遣い、さり気なく後ろをつけているリュカが入ってから、扉を閉める。 そんな小さな優しさ。 やっぱり、コイツは未熟だ。 彼は将来、時には心を鬼にして、厳しいことを乗り越えていかないといけないことばかりな人生を送る。 そんな宿命を背負っている。 優しさがあるのはいいことだ。 しかし彼の場合、優しさは時に自分を傷つけることになるだろう。 きっと、有人はそのことに気がついてはいるだろう。 「私はいつも通りだ」 ちらりと疑いの眼差しで私を射た有人は、「いや、そんなはずは」と小さく口に出す。 しかし私は貫き通した。 それから暫らく、諦めたのは有人で。 静かに椅子に座った。 |