29 ―――情けない、命が関わる問題なのに。 その考えが、何故か頭の中をいつまでもぐるぐると巡っている。 さっきから、何度も何度も。 夕食が終わり、机に向かう有人を横目に見ながら、勝手に溜息が口から滑り出た。 今まで幾度と無く、殺しと同じくらい護衛の任務は受けている。 彼の某総理大臣だとか、王族だとか。 慣れ、というより、直感と瞬発力がいる仕事だから 常に気は抜けない。 元々、綱吉や守護者は護衛に向いていない。 力はあるものの、武器であったり、手段であったり 大事になるような、強すぎるものを持っているからだ。 それに、彼等にはSランク以上の任務がほとんど。 彼等を護衛等という仕事をやらせることが間違いだと、誰かが言っていた。 だから一流且つ、目立ちすぎないちょうどよい影の存在が、私なのだと師匠はいう。 確かに、一匹で闇の中の闇を支配した私。 格好こそは目立つものの、自分自身が目立つことを好んでいないため 素早く的確、確実に仕事を終わらせる。 |