1 赤いテープリボンのついた黒い帽子を目深に被り、その上に右手を置く。 この姿勢は、ずっと腕を上げっぱなしだけど慣れれば辛くない。 それに、利き手である率の高い右手が使えないため、敵も油断しやすい。 「…稲妻、高校」 白の長袖シャツに黒のベスト、赤と黒のストライプネクタイ。 紺のショートパンツはグレーのタータンチェック模様で黒の革のベルト。 グレーのタイツに黒いロングブーツは白のレースリボンがアクセントについている。 学生ではない格好では目立つのは当たり前だ。 それに私は金髪であり、容姿はどちらかというとイタリア人寄り。 外人なんて、もの珍しいだろう。 誰の許可を得たわけでもなく、ズカズカと敷地内へと足を踏み入れる。 強いて得た許可といえば、綱吉、ボンゴレの許可。 ま、こんなの普通の生活にはなんの得もないけど。 「あ、ちょっと失礼 サッカー部って、どこにいるか知ってる?」 傍にいた生徒に話し掛ける。 心なしか顔が赤い。 どうかしたのか、体調でも悪いなら病院を勧めよう。 私は普通の高校生よりは背が高いほうだ。 見下すようにして、ごめんな。 あっちです、と指差された方へ従って歩く。 もちろん礼は忘れない。 |