14 「Ciao よく眠れたか、有人」 鼻に付くほどではないが、良すぎる発音。 朝、着替えを済ませて食堂に向かうと昨日とは少し違う、長袖シャツにハーフパンツ、黒のベストに帽子を被ったヤツファーストネームがいた。 「随分と早起きだな」 「私にとっては普通だ」 弁当、出来ているぞ、とテーブルの上の弁当箱を指差され いつもは使用人が作っていたんだが、と答える。 「時間が無いし、有人から離れられないからな 夕ご飯と掃除洗濯は任せることにした」 朝食だ、とテーブルに並べられた料理。 温かいミルクティーに、マーガリンの塗られたトースト。 サラダにスクランブルエッグと、ブルーベリーソースのかかったヨーグルトとかなり普通のもの。 「普通、だろう?」 「あぁ、あれほど偉そうに言っていたわりにはな」 朝はバランス命、らしい。 「まぁ有人、早く食べろ」 ファーストネームに促され、 席につきトーストを掴み、口に入れようとして、ふと気が付いた。 「……………お前は、どうする」 「私はもう食べた」 素っ気なく答え、ファーストネームは弁当を包み始めた。 昨日会ったばかりなのに、この存在感、もう溶け込んでいる気がするのは気のせいではない、はず。 |