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食事を終え、青年の自室に戻り数十分。
「青年、少し離れるぞ」
さすがお金持ち。
各部屋にシャワー付きだ。
「その間、コイツに任せる
非常時にはコイツが吠えるからな、直ぐにでも
駆け付ける」
私はリングをはめ、一つの匣を取り出す。
霧属性の犬、ちなみに耳が黒いパピヨン、名前はリュカ。
「見たこともないだろう」
「それは、…何だ」
そりゃあ驚くだろう。
小さな箱からいきなり、犬が飛び出してきたんだから。
「一種のマジックとでも、言っておこうか」
いくらお金持ちでも、知らないもの、手に入らないものはあるのさ。
そう 言い残し、私は青年の隣に用意された私の部屋へシャワーを浴びに行った。