▲ 2−7
涼風の身体は重力に従って、スピードを上げながらまっ逆さまに落ちていく。
涼風「こえー!!」
『観念しなさい!』
屋上から声を上げているニックネームに気が付いたが、今は振り返れない。
涼風はずっと狙いを定めていたイエティに向かって、真っ直ぐ手を差し出した。
涼風「おう!大成功だぜ!!………っと、」
あらかじめ開けておいた窓のサッシに、器用に着地した涼風の腕には、驚きのあまりに微動だにしないイエティの姿があった。
そりゃあ、まさか上から人が降ってくるとは思わないだろう。
ニックネームは涼風に付けられたワイヤーを外して、屋上で待機しているスイッチに指示を出した。
すると、ゆっくりと屋上へ戻っていくワイヤーを見ながら、涼風の安否を確認した。
『作戦成功! ありがとね、涼風くん』
涼風「俺も楽しかったしな〜 これくらい、全然いーっていーって!」
『(これくらい?!! 結構死活問題だと思うけど…?!)』
いかにも楽しそうに笑う涼風に、ニックネームはほっと肩を撫で下ろしていた。
すると、外から戻ってきたヒメコが、バシバシと涼風の肩を叩いた。
ヒメコ「やった!!成功や、涼風!! アンタ、やる時はやるんやなあ!」
涼風「? 運動系なら任せときなって!」
ヒメコが本当に楽しそうに笑うものだから、つられてニックネームも涼風も笑いだした。
その時、ニックネームがふと思い出した。
『あれ、そういえばイエティが持ってた爆弾は…?』
涼風「爆弾…?鬼ごっこでもしてたのか? ま、細かいことは気にすんなって!」
ヒメコ「おん!そうやな!!」
『えぇえ?! これはスルーしちゃまずい問題だと思うけど?!!』
ちょうどその時、外から爆発音が聞こえた。
え?爆発?
もしかして、チュウさんが作った爆弾のせい?
ニックネームは慌てて窓に駆け寄ると、ソフトボール部のが燃えているのが見えた。
何で…
pipipipipi...
『あ、スイッチからだ』
タイミングよく届いた、スイッチからのメールはもちろん、情報通故の内容で。
―――――どうやらイエティが持っていった爆弾は、ソフトボールに紛れていたようだ。 それを俺たちに言われたことを根に持っていた金城が、練習をしようと投げて 今の爆発が起こったみたいだZE☆ テラワロスwww
『わたしたちが言ったこと…? ああ、投げ方が女みたいってヤツ?』
涼風「あはは!それ超当たってる! なになに藤崎、そんなこと言っちゃったの?」
ぷぷっとさらに笑いだした涼風に、いい加減黙れとヒメコの鉄拳が飛んだ。
まあ、とりあえず一件落着と思ったニックネーム達だったが。
驚きのあまり放心状態だったイエティが再び逃げようとしたのを―――――今度は三人がかりでバッチリ止めたのは言うまでもない。
学園生活支援部は、体育会系もやります!
あとがき |