▲ 2−2
突然入室してきた金城に、飛び掛かるイエティ。
ナイスタイミングとしかいいようがないのだが、慌ててイエティを捕獲しにかかったニックネーム達は、冷や汗たらたらである。
金城「何をやってるんだねキミ達は!!!」
ヒメコ「まあそない怒らんといて下さいよ金城先生」
『わたし達一応、部活動ですし…』
金城「ドントジョーク!! 猿とたわむれるのが キミ達の活動かね!?」
相手は長ったらしい説教で有名な金城。
下手に何か言えば、それが長引く可能性は高い。
イエティを捕まえたニックネームは、冷静に考えた。
なんとか早く、立ち去って貰いたいものだ。
金城は、部室を一周見回した。
完全に私物化しているデスクにロッカー。
部室の所有者である彼らの傍には、おそらく今まで使っていたてあろうトランプやら化粧道具やらが散乱している。
よく見れば、生徒が倒れているし、おまけに変な旗まである。
鼻で笑った金城は、部長であるニックネームの方を見ながら言い放った。
―――何がスケット団だね 行く所のない人間同士が寄り集まってるだけだろ
どうにかして穏便に和解を試みていたニックネームだったが、もう迷いが無くなった。
ほんとムカつくな、この人。
所々にカタカナ英語混ぜ込みやがって。
英語教師のくせに、発音下手なんだよ。
人の過去をどうこう言うなんて、大人の―――教師のすることじゃない。
金城の調子に合わせるように、ニックネームとヒメコ、スイッチは適当に返事を返しておいた。
こんな人に、素直に従うわけがない。
早く帰れ帰れ。
珍しく悪人顔をしていたニックネームに、金城は驚いた。
騒がしいことばかりするスケット団だが、部長のニックネームは根は真面目なので、先生受けや成績が悪いわけでもないのだ。
どういうことだ、やっぱりこの変な集団のせいなのか。
だったら、何か策を考える必要があるかもしれない。
そんなことを考えながら、部室を後にしようとしていた金城のことなど知らず、ニックネーム達は口を開いた。
『あ、そうそう そう言えば金城先生はソフト部の顧問でしたよね』
金城「む、それが何だ?」
一呼吸置いたニックネームは、真剣な表情を崩すことなく、言い放った。
『ソフト部の部員が言ってましたよ 先生のボールの投げ方は、死ぬほど笑えるって』
ヒメコ「ああ、何か女みたいってヤツやろ?」
金城「シャ…シャラップ!! 何だ その話、関係ないだロウ!!」
[左手で投げた時みたいだってサー☆]
プッ
金城「ストーーップ!!!」
金城の怒りが頂点に達した。
この子達、いや藤崎なまえをこんなにしてしまうような、管理が行き届いていないこの部活。
おまけに担当は滅多に来ないだって?
本来普通の生徒なら、呼び出しをくらうようなレベルの悪口。
それなのに、全く何も言えないのは、相手が藤崎なまえだからだろうか。
彼女を悪く云う者なんて、誰一人と見たことがないし、成績でも性格でも、悪いところはないのだから。
金城は、スケット団という存在に眉間に皺を寄せた。
問題だ、これは。
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