一徹 | ナノ










  理解者


「花巻―、呼ばれてるよー」

―――――及川さんに。

その言葉を聞いて、弁当をかきこむように食べていた花巻は、ごほっとむせた。
周りで同じようにして弁当を食べていたクラスメイトも若干名、同じことをしていて、少し笑った。
教室内が少しざわつく中、頭の後ろをかきながらそちらへ向かえば、予想通りの光景が目に入った。
一つだけ、予想外のこともあったが。

「おっす、」
「ごめんねマッキー、ご飯食べてる途中だったよね…」
「全然だいじょーぶ
…で、松川は?ストーカー?」
「仮のボディーガードってことにしといてよ
本物に消される可能性あるから」
「否定できない」

―――――俺んとこに先に来たから、ついてきただけなんだけどな。

「…部活関係か、」
「うん、
練習試合を組んでもらえたから、それの連絡」

はい、と手渡されたプリントを一通り目を通すと、ありがとな、と花巻はなまえの頭を撫でた。
無意識である。
しかし、にやついた表情をした松川が目に入り、はっとする。

「そういえば、今朝怒られたんだよなー」
「まあ、やめる気はないんですけどね」
「それな」

ははっ、と男二人で笑っていると、なまえは少し照れたように下を向いていたことに気が付いた。
そういえば、目立つようなこと好きじゃないんだっけ。

「…もう配り終わったの?」
「まだ、あと…はじめちゃんのとこ行かなきゃ」
「マジかよ、部長一番に持ってってやれよ」
「拗ねちゃうぞー」
「五限に小テストあるっていってたから、ぎりぎりにぱぱっと渡しちゃった方がいいかと思って」
「あー、お前らいつも話し込むもんな」
「毎日一緒にいるだろ、何話すんだよ」
「んー、そんなに話題に困ったことはないかなあ」

お互いのことをよく把握しているこの幼馴染達が羨ましくもあるが、呆れと慣れの方が勝っている花巻と松川は、お互いに顔を見合わせると小さく笑った。

「まあ、仲のいいことはよいことですからね」
「じゃあ俺も岩泉のとこまで付き合うわ、行こうぜ」
「…ありがとう」



※及川さんのクラスだけ判明してなかったはずなので、どうせならとみんな違うクラス設定にしました。



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