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ネタ帳より
※ハイキュー!!・烏飼さん中編

外は雨。

「…あのー、」
「なんだ?離さねーぞ」
「あ、もうそれはいいので…その、諦めましたから
それでですね、……」
「…勿体ぶるな、早く言え」
「あ、はい…じゃあ…」

―――――せめて、前を向かせてもらえませんか?

「ダメだ!
お前を他のガキどもに見せるわけにはいかねえ…!」
「いや、あの…別に誰も興味ないと思いますけど…?!」
「んなわけねーだろ」

―――――現に俺は、手ぇ出すの我慢出来なかったわけだしよ。

烏養の膝の上で向き合うように座らされ、片腕で凄い力で抱き締められているなまえは、先程の発言が気に触ったのかこめられる力が強くなったのが分かり、はあ、と溜め息しか出てこない。
何なの、この人。
大きな体で、立派に煙草まで吸っているのに、行動が小さな子どもみたいだ。
なまえはせめてもの抵抗で烏養と自分との距離を保つように、手を烏養の胸の前で押し返していたのだが、如何せん相手は大きな子どものような人だから、結局折れたのはなまえの方で、今や大人しく烏養に抱き締められていた。
どうしてこうなったと思い返してみれば、なまえにとっては何の変哲もない日常しか思い当たらず、頭を悩ませていた。
すると烏養が少しだけ小さな声で、どうかしたかと尋ねてくるが、あなたのせいですと答えようとしてなまえは口を閉じる。
何だか都合のいいように解釈されそうで、癪だ。

「いえ、…早く雨がやむといいなあ、と思って」

視界には烏養しか映らないので、耳から伝わってくる音だけを頼りにするしかないのだが―――――なまえがこの店に足を踏み入れてから小一時間は経つが、一向に雨は激しい音をたてるだけ。
止む気配は無さそうで、自然と気持ちが下向きになっていくのを感じた。

「まだここに居ればいいじゃねえか」
「それ…お兄さんにしか得がないと思いますけど、」
「どーせ今行ったって雨は止まねえし、さみーし、いいことねえけど
ここに居んなら、暖めてやるから」
「…はあ、」

どうしてこうなった。
先程から思考はそのことを議題として駆け巡っているが、如何せんなまえには心当たりがなかった。
何か気に触るようなことをしたのは確かなようだが、聞いても話してくれなかったしなあ…と、それでは何も解決の兆しが見えないのだ。

それではもう、考えるのをやめてしまおうか、なんて思ったりもしたが、それでは解決どころか現状に良い意味にも悪い意味にさえ変化が起きないのだから意味がない。

「…烏養さん、」
「!
知ってたのか、俺の名前…」
「武田先生がよく呼んでいらっしゃるから…」
「あれ?お前ってバレー部か?」
「いえ、違いますよ
武田先生は担任の先生なだけです」

さらに力をこめて抱き締められたなまえは、諦めにも近い溜め息をつく。
この人、不思議な人だ。

「あの、…絞まってます…」

激しい雨の音は、扉をひとつ閉めるだけでこんなにも小さくなるのか。
人肌が安心をもたらしてそう錯覚させるのか。

「わり、
でもよ…他の男の話なんざききたくねえんだ」

すぐ間近で、ダイレクトに全身で感じられる烏養の鼓動から、嘘をついているわけではないのは手に取るように分かるが―――――





「すみません、でもわたしたちただの知り合いです」

これは、少し―――――少しだけ、欲望に忠実すぎる烏養繋心のある日常に起こった出来事である。





ヒロインデフォ:桑原 奈心(くわばら-なこ)

烏野高校二年生。
帰宅部。
周りに流されやすいタイプ。

家族構成
父、自営業。
母、スーパーでレジ打ちのパート。
兄、社会人二年生。

家が学校とかなり距離があるため
過保護な父と兄が雨の日は迎えに来る。
その時の待ち合わせ場所が烏飼さんの店。

子どものように素直で全く隠さない感じの烏飼さんが
ガンガンに攻めるけどあんまり報われない話、になる予定。
でも烏飼さんの口調よく分からない…

武ちゃんが担任とかいうのは変わるかもしれないけど
バレー部に知り合いはいないので誤解されまくる感じ。

めっちゃ俺得\(^o^)/

アニメ化楽しみだなー