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ネタ帳より
※某忍者のたまご設定・現パロ



「ひどいよなまえちゃん、先に行くなんてー」

―――――僕が一人じゃ起きれないの知ってるくせにー。

そう言って、頬を膨らませながら教室へ入ってきた喜三太は、真っ直ぐになまえの席までやってくると、机に貼り付くように倒れ込んだ。
顔を伏せたままぶーぶー文句を漏らしているので、音が籠ってよく聞こえない。
なまえはごめんと謝りながら、喜三太の機嫌を取るように頭を撫でた。

「もー、騙されないよー?」
「えー…」

とは言いつつ、もっと撫でろと言わんばかりになまえの手に擦り寄ってくる姿は小動物のようにかわいらしい。
なんでだ、男子高校生ってこんなにかわいいはずがない。

山村喜三太は周囲から、「かわいい系男子」と呼ばれている。
その理由は、仕草や発言が小動物のようにかわいらしいから。
特に女子にかわいがられていて、本人はお菓子やパンを餌付けされていることにも気付かないので、よく女子の中心にいても気にしないような子である。

「ごめんってば、今日朝練あったし、時間違うから先行ったの」
「…」
「一回は起こしに行ったよ?
でもきーちゃん寝ちゃったし…」
「そ、それは、そうだけどさあ…」

いまだ文句を主張しようと膨らませている頬を人差し指でつくと、ぷしゅーっと呆気なく潰れた。
本当になんなのこの子、かわいすぎるんだけど。

なまえが喜三太のかわいさとご機嫌とりをどう対処すべきが考えていた時、がたっと大きめの音が教室の後ろから鳴った。
女子の視線が少なからずそれに反応したのを見て、なまえは音の正体に気がついた。
はあ、こりゃまた厄介なことになりそうだ。
その予感は強ち間違ってはいない。

「でもきーちゃん、木曜日だけはわたし、起きるまで待ってあげれないの分かってるでしょ?」
「ぶー!」
「(それで返事するの?!)」

「喜三太、その辺で諦めろよ
先週もそうやって駄々こねてただろ」

教室のロッカーの上に竹刀を置いていたらしく、顔だけ振り返り、喜三太を叱るように言い放ったのは皆本金吾―――――彼は喜三太と正反対で「かっこいい系男子」と呼ばれている、彼もまたモテる分類に入る人間である。
金吾は剣道部故に鍛えられた肉体と精神を持つ、まさに漢の中の漢。
さらに、何故か女子とは上手く話せないというコンプレックスを持っているのがギャップでかわいい、と言われている。
彼は女子支持の高い喜三太とは違い、男女共にモテる。

そして二人とも、同じなのは顔が整っていることだけで、性格も体格も全く異なるが、幼馴染みという不思議な間柄であった。

「だってさあ…?
僕、本当に一人じゃ起きれないんだってー」
「けど、こればかりは仕方ないだろ?」
「はにゃあ…金吾までー」

ほら、なまえが困ってる。

言葉にこそは出さないが、そう目で訴える金吾に、喜三太は渋々といった様子で身体を起こした。
金吾はもう、なまえに甘いんだから。
口に出したら怒られるのは経験上分かっているので、喜三太は謝罪だけ口にした。

「なまえちゃん、ごめんね…?」
「いいよ、きーちゃん
…もっと早めに一人で起きれる方法考えとけばよかったね」
「えー!
それはダメだよー!」
「ええ…?なんで…?」

「なまえちゃんと金吾は同じクラスだけど、僕だけ違うんだから
朝くらい、一緒にいたいのにー!」
「なにこの子、かわいすぎるんだけど…!」





わたしの幼馴染みがこんなにかわいいはずがない!

(こらなまえ、ずるいわよ!)
(山村くんかわいすぎ…!)
(?
ありがとー?)

(喜三太、お前まさかそれ狙って毎朝寝たふりでもしてるわけじゃないよな…?)
(ぎく!)
(え?そうなの?!)
(そ、そんなわけないよー)
(…きーちゃん、顔にも口にも出てるよ)
(はにゃあ…)



落乱は取り扱いジャンルじゃないから
普通に公開するのは恥ずかしいのよっていう主張。

みんなかわいいよね!
三郎次とか左近とか、作兵衛と迷子たちとか
団蔵かわいい!虎若と金吾が何だかんだいってずっと好きだなあ…!