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ネタ帳より
※某海賊で発明家?主



「あ、いいとこにきたねなまえ!」
「なになにー?どうかしたの?」



背中に背負っているリュックには所謂設計図というものと筆記具、左手には工具箱、右手には通りの果物屋でもらったらしい果物を持って歩いていたなまえは、声をかけてきたおばさんを振り返り立ち止まる。

これこれ、と指差された小さな箱を見て、なまえはまたかという呆れ顔をしてその箱を受け取った。



「もう“オルゴール”はこのネジを回る方向に軽く回すだけだよ
無理に力を入れちゃダメだってばー」
「分かってるよ
でもうちの子達が何回もせがむもんだから、つい、ね」
「ただでさえ年季ものなんだからさー、大事に扱ってあげないと、ね!はい、できた」
「毎度毎度すまないね、」



年季の入ったこの木箱の正体はオルゴール。

この島ではないところで作られたものらしく、直し方が分からないと泣きつかれたのはもう何度目か。

なまえは工具箱から取り出した工具で箱を何回かいじくると、最後に布で大切そうに拭いてからおばさんの手に戻した。

今は亡き主人のプレゼントだというその大切なオルゴールは、今では彼女達の宝である子ども達の子守唄をつとめている。



「そうそう、また暫く引きこもるから
みんなによろしくねー」
「またかい、
あんたまだ若いんだから、そんなに引きこもってばかりいないで…」
「若いうちにやりたいことをやっておくのも悪いことじゃないよー」
「…まあ、好きにしな」



じゃあまたご飯はうちの子達に届けさせるから、ちゃんと三食食べるんだよ!

おばさんの話を最後まで聞かずに、なまえはふらりとまた歩き出す。

島を一周歩き、困ったことがないかを聞くのがなまえの日課の一つである。

しかしこの日課はなまえが家に閉じ籠ってないときに限って行われるため、島の人々はこぞってなまえに群がる。

なぜ、―――――それはなまえがこの島の出身ではないということと、この島の人々はほとんどが余生を楽しんでいる年齢だということが原因である。



島の名は―――――

彫刻を生業としてかつてはそれなりに栄えていた、グランドラインの入り口の近いこの島は、若者は皆他所の島で技術を磨こうとする傾向が主となってきていて、今や観光客すら滅多にこない島である。

軍や賊が使うであろう武器、道具に装飾を施すことも少なくなく、今でもたまにそういった輩が島を訪ねてくるくらいで、ログを貯めるために宿泊するほどの期間も要らないため、入江近くのみ少し賑わうくらいである。



そんな島の人々は皆、もの作りには疎い。

彼らは完成品の仕上げばかりを受け持っていたため、ものの根本的な仕組みには知識が乏しいのだ。

しかし材質や、工具といったものに関しては右に出るものはいないくらい詳しい。

つまり、ものを生み出すことを生業とまではいかないが、それなりに携わってきたなまえとは、彼らは真逆のタイプであるから、なまえに頼るのだ。



装飾の依頼者は古株の者ばかりではなく、老人ばかりの島だということにつけ込んで、物騒な輩が来ることもある。

悪いことに、彼ら職人の家は最盛期のまま、入江の近くに隣接していることが多いため、トラブルが起こることもある。

それを助けるため、なまえがたまたま趣味で作っていたもので輩を撃退したことが原因で、それからというもの、罠や武器を設置したり管理するのが日課になったのだが―――――



「古典的なものではあるけど、大きめのネズミ返しくらいでも多少は足止めにはなるでしょうよ」



今日、久しぶりに自室から出てきたなまえが手にしていたのは、先程まで作っていた罠。

入江から通りに面した道の全てに、ネズミ返しならぬ―――――輩返しを設置するためのものだ。

元々もの作りの“知識”はあるものの、生き物を傷付ける武器は作る気はないのがなまえ。

若い頃は軍や賊が相手でも気に入らない注文が入れば、武器を片手に立ち向かっていた島民達からすると生温いらしいが、いいじゃないか、下手に威嚇して島を荒らされるよりは、出ていってもらったほうが。

今回はネズミ返しはギリギリ当たらない設計ではあるが、避けた先が落とし穴になっていて、島の幾ばくにも張り巡らされた地中の穴に繋がり入江に落ちる仕組みである。

島の地中に何故穴が掘られているのか、それはかつて注文の品や物資を早く船に送るためと依頼し、作ってもらったらしい。

送り方雑だろ、というツッコミは不要である。

何故なら元々彼らは“装飾”にしか興味がないのだから。

それでいいのか、職人よ。



なまえは元々、この島の―――――この世界の人間ではない。

幼児化トリップというやつをした、不運な人間である。

しかしなまえは図太かった。

元の世界のように好きなものを作れればそれで―――――むしろこの世界は前よりも材質や工具が優れていたので問題は無かった。



そう、今までは何も。





ある朝、落とし穴にかかった海賊がいると子電伝虫が鳴った。

なまえは今の今までもの作りの世界に居たので、邪魔をされて不機嫌MAXである。

そんな状態のまま、とりあえず入江に向かうかと支度をし、家の横につけておいている小さな箱に座り込んだ。

簡単に説明すれば、島の地中に掘られた穴はなまえの指示でレールをひいたので、“落ちた”人間以外、つまり島民はトロッコとして利用しているのである。

なまえのトロッコは特別製で、普段から荷物の多いなまえのために縦に長い形である。

レバーを握れば隠してあった扉が開かれ、ぐんぐんとレールと重力に従って落ちていく。

絶妙にレバーで速さを調整しながら穴を下っていくと、出口付近が騒がしい。

え、多くない?



「邪魔でーす!
轢きますよー?」
「は?何あれ…」
「え、俺ら轢かれんの?!」
「何なんだよこの島ー!!?」





続かない。

詳しくはネタ帳にて!
オルゴールとか機械とか何も詳しくないからフィーリングで読んでね!!