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  土屋康太






※バカとテストと召喚獣です。
ムッツリーニ、すきだー!!



かわいいものが好きだ。
小さいもの。
丸いもの。
ピンク色のもの。
ふわふわとしたもの。
甘いもの。
全部、全部かわいいと思うから好きだ。

「…………みょうじ?」
「あ、ごめんね」

つい、無意識で、と手を離しながら答えれば、少し不満げな顔でむぅ、と漏らされた。
あら、怒っちゃったかな。

「…………どういうつもりだ」
「うーん……猫とかペットを愛でる感覚?」
「…………嬉しくない」
「いやいやいや、そんな赤い顔して言われても」

かわいいかったから、なんて口にしたら、彼の機嫌がさらに悪くなることくらいは分かっていた。
でも、周りの男子と比べるとかなり小柄で、女の子に負けないかわいらしい顔立ちをしていた彼は、わたしにとってはストライクなのだ。
自重、は日々苦戦しながらもしていたつもりだ。
それでも、これは、この状況が悪い。
今、彼は普段行動を共にする仲間とは別行動をしていて、たまたまわたしも友達とは別行動をしていたのだ。
そんな時にたまたま会ってしまった。
知り合いとかの目がある場所ならば、ある程度、自重できると思う。
でも今は、わたしたちは二人きりの状況なのである。
さらにここは、普段から人があまり訪れない、旧校舎側の自販機付近。
彼も、一度新校舎側の自販機に行って、それでも目的が達成されなかったからここにいるのだろう。

「…………こっちの自販機には、普段から人が来ないから、驚いただけだ」
「あー、そうなの…?
でも、ちょっと無理あると思うよ、それ」

少し遅れて返事が返ってくるところとか、聞いてはいたけれど、なんだか実際に目にすると感動する。
彼は、わたしにとっては芸能人と同等なくらいな人なのだ。

「わたしは普段から、こっちの紅茶の方がすきだから、こっちに来てるだけなんだけどな」
「…………知ってる」
「うん?そうなんだ…?」

なんでわたしの好みを知っているのか、とか。
話したこともないのに何故わたしの名前を知っていたのか、とか。
その辺りのことは、聞いても仕方が無い。
だって彼は、特に女子生徒の情報には詳しい人間なのだ。
話したことがなくても、わたしでさえそれくらい知ってる。

「えーっと、ごめんね
なんか嫌な思いさせちゃって」

会えただけで満足してしまったわたしが、じゃあね、と去ろうとすれば、何故かブレザーの袖を引っ張られる感覚に襲われた。
何、とか、誰、とか、そんなの該当するのは一人しかいない。
ここで第三者が現れたら、わたしは恥ずかしくてしねる。

「…………せっかく会えたのに、今度は実際に会話から情報収集しようとは思わないのか」
「あら、そんなことまで知られてたんだ」
「…………気配とか、視線とかには鋭い方」
「そっか、じゃあ今度から気をつけるね」
「…………だから、なんで今じゃないんだ」

こんなに話しかけてるのに何故去ろうとするのかってことかな。
そんなの決まってるじゃない。

「名前呼んでもらえた幸せで、あんまり頭が動いてないからかな」

去り際にわたしのいつも買っている紅茶を手渡してくれたところとか、隠そうとしていたけど見えてしまった赤い耳とか。
期待させるようなことばかりしてくるなんて、やっぱり彼は達が悪いね。















リボン賛歌










分かりにくいと思う。
かわいい物好きで、ムッツリーニが気になっていた女の子と、
見られていたことに気がついていて、意識してしまっているムッツリーニですね。
女の子の方がムッツリーニの名前を頑なに呼ばないのは、それさえ恥ずかしいからで、恥ずかしすぎて飲み物を買うことさえ忘れていますね。
ムッツリーニは多分、飲み物じゃんけんの敗者だったんですね。
でもこれなら違和感なく会えるかなと思って行ってみたらいなくて、無意識に彼女の好きな紅茶を買ってみたけど恥ずかしくなってしまったところに彼女が現れました。
彼女は生ムッツリーニに動揺するものの、とりあえず飲み物買いたいし、挙動不審なの見られたくないからと冷静を装って自販機付近までいきますが、内に潜んだかわいい物好きがでて来てしまい、ついムッツリーニの頭を撫でてしまったようですね、ここから始まりました。

スランプふざけんな、第一弾です。

お題:カカリアさま


15_01_15




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