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  クラスメイトは馬鹿だった








「お前、馬鹿だな」
「……」

悔しいが、言い返すことが出来ない自分がいる。
だってこればかりは、紛れもない事実なのだから、となまえは唇を強く噛む。
分かってるけど、人に言われると余計にへこむのはしょうがないよね。

「おーい、無視すんなって」
「……」

夕陽がすっかり沈んでしまって、少し辺りは暗くなり始めている。
何だか気持ちまでもが暗く、右肩下がりになっていく気がする。
はあ、早く終わらせないと。

そんななまえに対して、何故かことごとく邪魔をしてくるのは、クラスメイトである南沢。
見た目も性格も、少しではなくかなりのナルシストとしか言いようがない南沢だったが、成績は学年トップクラス。
我がクラスで真面目で通っているあの学級委員長が、テストで毎回涙目なくらいだ。
それに、神様は不公平なことしかしないようで―――――南沢はかなりのイケメンときた。
お呼びだしという告白に連れてかれるのは、日常茶飯事なんだろう。
でもなまえとは、クラスメイトの中ではよく話す、イツメンでもある。

「お前…可哀想なくらい馬鹿だな」
「……」
「その小テスト、クラスで落ちたヤツの方が少ないらしいぜ?」
「……」

なまえが放課後の教室に居残ってまでやっているのは、南沢が言っている小テストの直しである。
単言が終わるごとに小テストをやりたがる化学の先生が作るこの小テストは、基本語句問題と計算問題が大体7:3くらいの割合で出る。
だから、なまえは基本語句を徹底的にやりこんでテストにのぞんだのだが、今回は見事に逆のことをしてきたのだ。

そう、計算問題だらけに。

翌日に行われた再試でも落ちてしまったなまえは、余分にプリントを出されてしまい―――――提出期限である今日になっても、未だに出来ていないのである。

「大体、この単言は新しい計算方法が出てきてたんだから、そっちを多く出すに決まってんだろ」
「……」

そう、よく考えてみれば南沢の言う通りで、わざわざ授業でかなり時間をとって練習問題を解かされたのだから、出ないはずがないのだ。
はあ、やっぱりわたしって馬鹿だなあ。

「おい」
「……」

なまえの前の席の椅子に跨ぎ、背もたれに顎を乗せている南沢は、無視し続けるなまえに飽きもせずに話し掛ける。
何なんだ、お前暇なのか。
そういえば、雷門中で最も力を入れているサッカー部所属の癖に、練習はどうしたんだ。

「おい、聞いてんのか」
「……」

ふう、と息を吐いた。
なまえは何とか解き終わった、とペンを置くと、また南沢が何か言っている。
煩いなあ、と苛立っている自分がいるのは否定出来ないなまえだったが、プリントも終わったから聞いてやるかと顔を上げると、思ったよりも近くに南沢の顔があった。

「達成感に浸ってるとこ悪いけど、間違ってるぜ?」
「…え、」
「問一の二番が計算ミスしてる
問三は一番に使う公式が違うから、後が全部違う」
「う、うそ…」

なまえは視線をプリントに戻してみたけれど、何処が間違っているかも分からないのだから意味がない。
気をとりなおして再びペンを握るも、溜め息しかでない。
もう嫌だ。
こんなプリント、今すぐにでも投げ出してしまいたい。

「なあ、はやくしてくんねえ?」
「…なんでずっと居るの
部活行けばいいじゃん」
「はあ?
…やっぱお前馬鹿だな」

はあ?と言いたいのはこっちの方だとなまえは南沢を睨み付けた。
すると、呆れた表情でなまえシャーペン奪った南沢は、すらすらとプリントに何かを書いていく。

「あそこのケーキフェア今日で終わりだろ?
お前から言ってきたんだから、ちゃんと約束守れよな」

南沢が言っているのは、先週クラス内で話題に上がっていた、ケーキフェアの話。
普段は高くて学生が手をつけることは出来ないが、フェア中はなんと半額になるらしいので、みんなで行かないかと話していたのだ。

「でも、みんな帰っちゃったんじゃ…」
「はあ…」

見てみろと南沢に指をさされた先には、校門に持たれながら話しているクラスメイト達―――――俗に言う、イツメンが揃っていた。

「うそ…」
「だから、俺ははじめから早くしろって言ってんだろ」
「!
理由くらい言ってくれないとわかんないってば」
「ほー…馬鹿だから?」
「あんたねえ!さっきからバカバカうるさい!!
事実だけど…わたしだって傷付くんだからね!」





まあまあ、馬鹿な子ほどかわいいと言いますし



((…なんて、言えるわけないよな))
(な、なに?いきなり黙っちゃって)
(別に
早く出してこいよ、あいつらどんだけ待たせんだよ)
(?出してって、出来てないの、に……!
え、うそ、いつのまに…)
(……)
(ああありがとう南沢!)











2012夏企画、みねかおるさまへ

馬鹿な子ほどかわいいというのは、管理人的には人一倍悩んだり努力したり、がんばる姿がかわいいんだと思います。
かわいい子が悩んでるのはかわいいのは事実ですが、普通の子でもかわいいですよね。
だからこの南沢は、悩んでるのを見て楽しんでるので、最後まで何も言いませんでした。
決してドSなわけでは…。
しかし最後はいいことします、それが南沢クオリティ(笑)
わたしが南沢の何を知ってるんだって話ですけどね( ̄▽ ̄;)
正直な話、落ちが浮かばなくてですね…。
「クラスメイト」というリクエストでしたので、告白的なことまではやめました。
これはこれでいいかなって―――――はい、自己満足ですよね(m´・ω・`)m

管理人にたいして御気遣いまでありがとうございます。
みねかおるさまも、まだまだ夏は続きますので…!お身体にお気をつけてくださいね!
正直、その話題にあまり触れてくれる方が少なかったので、旅行先でびっくりしてました!
2012夏企画:みねかおるさまのみフリーでした!

12_08_14





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