●●アンインストール●●● 〜5


「おっせーな、花井」
「う、うん……」

「? クソレ、何か知ってんのか?」
「へ!? あ、いや…えと…」

部室前、誰よりも早く来て鍵を開けるヤツが来ない。
俺と水谷、沖と西広が待ちぼうけしてる。

9組はHRが長引いてるのは知ってるけど、花井はいつの間にか教室にいなかった。だから、てっきりもうココに来てると思ってたのに。

「あ、あべ、くん!」

ててて…と寄ってくるのは、可愛い可愛い三橋で。
それに一瞬、花井のことなんて忘れてしまった。

「おう」
「さ、さっきは、メール、その…」

「いーって、気にすんな」
「う、うん!」

三橋がにへへと笑う後ろで、泉が仏頂面をしてる。まぁ、大抵はいつもこんな感じなんだけど。

なぜか一緒にいる浜田も元気なさげだ。
コイツらもケンカでもしたのか?

「あれー? まだ開いてないの?」

遅れて栄口が来た。
水谷がバカみたいに喜んでるのを尻目に、「ああ」と短く返事する。

「巣山は? 先行くって言ってたけど…」
「見てないよー? 俺と阿部が一番だったモン」

「おかしいなぁ…。あ! 花井きたよ」

「…わり、遅れた」

文句のひとつも言ってやろうかと思ってたけど、それは躊躇われた。
見るからに顔色が悪い。青いっつーか白いっつーか…。保健室にでも行ってたのか?


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