大事にしたい相手ほど、
素直になれない。
好きになればなるほど、
ワガママになっていく。
●●Codependence●●●
「…相沢、本当に転校するの?」
「嘘ついてどうすんだよ」
さっきのホームルームで、担任から相沢が あと一週間で転校する事を告げられた。
それに教室中がざわめいたけど、相沢本人はあっけらかんとして笑ってる。
出席番号の席順だと隣だったから、入学当初から いろいろ喋ってたのに…何だか寂しいなぁ。
「親の都合?」
「そう。それに、元々の地元は向こうなんだよ。中1まで向こうだったから、出戻りだな」
「へー…」
「転校先に知り合いがいるなら、気が楽だな」
巣山の言葉に、相沢が「まぁなー」って相槌を打つ。
確かに、他人の中に一人だけポッと入るのは、ちょっと緊張するよな…それがないから、こんなに普通なのかな?
「あと一週間か… あ、お別れ会とかしなくていいから」
「何も言ってねーよ」
相沢の冗談に、巣山が笑いながらツッこんでる。
このいつもの感じも あと僅かなんだと思うと、ちょっと切ないな…
「そんなに寂しがんなよ。あと一週間あるんだし」
「そうだね… あ、思い出作りしよっか!」
「思い出作り? はは、それいーな」
「えー、ガキじゃあるまいし…」
俺の提案に、巣山は賛同してくれた。
相沢も言葉じゃ否定してるけど、ちょっと照れてるって事は、満更でもないって事だよね!
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「お前ら野球部は忙しいだろ。遊ぶ時間あるのか?」
「ミーティング終わりなら、時間あるよ! あとは、雨の日とか」
「つっても、お前と出かけると…アイツがうるさそうだな」
「アイツって、水谷の事?」
…確かに、相沢の言う通りかも。
すぐに浮気だの何だのって騒ぐもんな。巣山も黙って頷いてるし。
でも、事情を話せば 水谷だって納得してくれるはず!
***
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