●●君との距離●●●〜3
織田に別れを告げられて。
日が暮れても何をする気にもならず、一人部屋にこもっていた。
誰とも会う気しないし、勉強も身が入らない。
今回のテストは散々かもな、と変に冷静な自分がいる。
…織田との関係が、終わってしまった。
一度も好きだと伝えないまま。
想いが重ならないまま。
俺が悪いのか?
違う。
だって、織田は俺のこと放っといてたし、デートに誘うって言って誘わなかったし、
エロ本隠し持ってたし、俺が女子に告白されても嫉妬してなかった。
挙句に、体だけでもいい、だなんて。
思い出しただけで、また涙が溢れる。
倉庫にいた時の織田が知らない人みたいで、怖かった…、けど。
『俺は、叶が好きで好きでしょうがないんや』
そう言った織田の目は、真剣だった。
織田の声、視線…思い出すだけで、こんなにも胸が締め付けられる。
俺たち、こんなことで終わるのか?
織田の野球人生、俺が奪っていいのか?
いいわけない。
好きだって言ってほしかったとか、もっと構ってほしかったとか、ずっと一緒にいたいとか、相手に求めてるだけじゃ…ダメなんだ。
三橋みたいに、素直になって相手に伝えないと。
俺は、一度も伝えてない。
伝えたい。
伝えなきゃ。
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