●●君との距離●●●〜2


部屋に戻ったら泣いてしまうような気がして、その辺をぶらつく。
グラウンドに来てみても、どこの部活もやっていなかった。

当たり前か、テスト期間だもんな。
あと一週間で、またここは賑わうんだろう。

まだまだテスト期間が終わってほしくなくて、じんと目の奥が熱くなる。

「あの…」

呼ばれて、振り向くと。
見たことない女子が立っていた。

周りには俺しかいないから、俺に話しかけてんのか…
「何?」とだけ返事をすると。


「私…実は……」
「え…?」


・ ・ ・




所謂、告白、だった。
見知らぬ女子に好きだと言われた。
返事は後でいいから、考えてほしい、と。

俺は突然のことで混乱し、短く「ああ」と返事をするので精一杯だった。
女子が恥ずかしそうにいなくなり、俺はまた一人になった…と、思っていたのに。

「叶〜v」

コーラを3つ持った織田が立っていた。
…まったく気が付かなかった。いつから いたんだ…?

「何やねん、今の」
「え、あー、っと…」

「モテるなぁ、叶はv」
「は?」

ニヤけながら近づいてくる。
そのバカにしたような笑顔に、元々気分が落ち込んでいた俺は、もの凄く腹が立った。

何で、織田にこんなに振り回さなければならないんだ。

ニヤニヤする織田を睨み付けたが、別段怯む様子もない。
それがますます…ムカつく。


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