…俺は今まで、何をやってきたんだろう。
いつか慎吾に言われた『臆病者』というワードが、ピッタリじゃないか。

準太は美人で格好良くて、成績も良い。
人当たりもいいし、笑い上戸で、誰からも好かれていて。

そんな準太が、俺と付き合うなんて勿体無いと思ったんだ。
それに、もし今の関係から更に親密になれば、いつかその関係が壊れてしまうかもしれない。
その時に、俺は耐えられるんだろうか、と。

付き合ってもいないのに、そこまで考えてしまう自分の思慮深さに呆れてしまう。
結局、俺は慎吾の言うとおりの臆病者なんだ。

いつか手放すことになるのが、怖くて。

でも、それよりもっと怖いのが、準太が準太じゃなくなることだ。
あいつに軽薄なんて言葉は似合わない。そんなのはきっと、準太も分かってるはずだ。

まだ間に合う。
今行かないと、一生後悔することになる。

俺は、さっさと帰った慎吾の後を追うため、走り出した。



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