* * *


掃除の時間になり、うわの空で黒板消しを叩く。

午後の授業なんて、何ひとつ頭に残ってない。
少し前の席にいる慎吾にばかり目がいってしまい、集中できなかったんだ。

時折携帯を取り出してメールする姿を見れば、相手が誰なのか気になって仕方ない。
準太か、さっきの女か、それともまた違う女かもしれない。

先生に当てられずに済んだのが、唯一の救いだったな。
そう片隅で思いながら、ゴミ捨て場に向かう。

まだボーッとしながら歩いてると、俺より先にタケがいてゴミを捨てていた。俺に気が付いて、軽く会釈される。

「話、済んだんスか?」
「え? あ、ああ…」

「今日、慎吾さん家に行くらしいんスよ」
「…そうらしいな」

「行ったが最後だと思うんスけどね、俺は」
「どういう意味だ?」

「分かってるんでしょ、本当は」
「……タケ、お前はどこまで知ってるんだ?」

責める様に見れば、タケは相変わらずのポーカーフェイス。
表情を崩すことなく、あくまで淡々としていた。


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