「和さん、俺は浮気OKなんですけど」
「…は?」
「慎吾さんから聞いてないんですか?」
「いや……、き、聞いたが…」
「軽く付き合えればいいな〜って思ってたんです。慎吾さんて、経験豊富じゃないですか」
「準太、それは本気で言ってるのか…?」
頭が真っ白になりながら問えば、あくまで静かに頷いた。
その仕草にウソの片鱗は見当たらない。
「今日はね、俺にエロイ事を教えてくれるんですよ」
「……え!?」
「慎吾さんって、すっごいテクを持ってるらしいんです。今日は部活ないし、慎吾さん家で教えてくれるんですよ〜v」
「……え、?」
「俺もう楽しみでv 何されちゃうんだろーな〜」
「…準太! おまえ、何を言って…!」
聞きたくないと大声を出せば、準太の肩がビクっと震えた。
でも、キッと俺を睨んだかと思えば、さっさと背を向けられる。
「俺が誰とどんな風に付き合おうが、和さんに関係ないでしょ」
「そ、そういう問題じゃないだろう?」
「ソウイウ問題です。それじゃ、授業に遅れるんで」
「準太!」
すたすたと歩かれ、俺の言葉にはひとつも耳を貸さずに、いなくなってしまった。
(準太が、慎吾に抱かれる?)
あの慎吾のことだ。
準太を抱こうなんて簡単なハズ。
(今日、慎吾の家で…?)
確かに今日はオフだ。
だから、監督がさっき俺に告げたんだろう。
いろいろな思いが交錯する中。
予鈴が鳴っても、俺はその場から動けずにいた。
* * *
[*prev] [next#]
3/8
【目次・SR・TOP】