* * *
急いで1年の教室へと走っている途中の廊下で、偶然にもタケと準太が一緒にいるのを見つけた。二人は俺が慌てて走ってきたことに 驚いているようだった。
「じゅ、準太…!」
「ど、どうしたんスか? そんなに慌てて…」
「タケ、こいつ借りるぞ」
「ええ、どうぞ」
「え、ちょっと和さん!?」
「いいから、来い!」
動揺する準太を掻っ攫い、できるだけ人目に触れないようにと、人気の少ない踊り場まで連れて行く。
「準太、落ち着いて、聞いてくれ…」
「は、はぁ… 何ですか…?」
「さっきな、慎吾が…その…」
「?? …慎吾さん?」
きょとんとしてる準太に、さっきのキスシーンをどう伝えればいいのか悩む。
でも、浮気現場を見た以上、黙っていられるわけがない。
慎吾が勝手に『準太の許可をもらってる』と公言してるなら尚更だ。
できるだけオブラートに包みながら、慎吾が女生徒と親密にしていたと伝える。
キスしてたとまでは言えなかったが、これだけでも十分だろう。
俺の慌てっぷりに、準太が一瞬ぽかんとした後、クスクスと笑い出した。
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