* * *
次の日の朝練は、怖いくらいに普段通りだった。
昨日の慎吾の話なんて、まるで誰も聞いてなかったかのように。
唯一違うことは、慎吾が準太と話す時に、さり気なく腰に手を回していること。
準太もそれを嫌がることなく受け入れていて…時折耳打ちをしたり笑い合ったりと、仲良さそうに話していた。
そんな二人を見るたびに、ズキズキと心が軋む。
見ていたくなくて目を逸らせば、雅やんが心配そうな顔をしてこっちに近づいてきた。
「…あのさ」
「…ん、何だ?」
「あれでいいの?」
「…準太たちが、決めたことだからな」
俺が決めることじゃないし、関係ないことだ。
…そう、俺が口出しできる問題じゃない。
「でも、心配だな… だって、慎吾だよ?」
「ダイジにするって言ってたけどな」
「そうかな…でも、」
「いーんだよ、雅やん。これでいいんだ」
遮りながら、自分にも言い聞かせるように言葉に出す。
雅やんが心配するように、慎吾は『広く浅く』の付き合いしかしたことないのは、俺も知ってるし…それが信条だと、慎吾自身も言っていた。
でも、それは今までの話で…もしかしたら、準太と付き合えば その遊び癖もなくなるのかもしれない。
きっとそうだ、そうに違いない。
そうであってほしい。
何より、準太のために。
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