* * *


慎吾の言葉が、頭から離れない。
それは、メシを食っても風呂に入っても何をしてても、フラッシュバックのように思い出してしまう。

もしかしたら、慎吾のいつもの悪い冗談なのかもしれない。
そう思ったら、自然と携帯に手が伸びていた。

リダイヤルから慎吾の名前を探し、発信ボタンを押す。
4回目のコール音の後、やる気のない声で慎吾が出た。

「あ、慎吾? 今大丈夫か?」
『おー、いいけど。どうした?』

「いや…さっきのことなんだけどな」
『準太のこと?』

「そうだ。お前、本当に誘惑したのか?」
『は? …っはは! そう、誘惑したんだよ』

前に自分が言ってたこと忘れてたな、こいつは。
遠回りに聞こうかと迷ったが、変に緊張してるドキドキが、勝手に俺の口から言葉を押し出してくる。

「冗談だろ?」
『冗談じゃねーって。準太は美人だし』

「そういうこと言ってるんじゃない。慎吾は、本気で準太が好きなのか?」
『あー、スキスキ。顔とか申し分ないだろ?』

「見た目だけか? 中身は見てやらないのか?」
『中身ぃ? それは後でいいだろ』

適当にスキとか言いやがって。
中身は後回しだと?

準太を何だと思ってるんだ。


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