俺が何も言い返さなくなったのを見てか、田島も何も言わなくなる。
気まずい空気をそのままに、くるっと背を向けられた。
「……俺たちが別れたこと、まだ誰にも言うなよ」
(もう『別れたこと』になってるの、か?)
「特に、水谷と栄口にはな」
「な、んで……」
「…チッ! いろいろあるんだよ。じゃーな!」
そのままバタバタと走り去られてしまい…残された俺は、ただ呆然とするしかなかった。
ようやく搾り出した「なんで」の問いかけは、「言うな」ってことに対してじゃない。
『何で別れることになったのか』を、聞きたかったはずなのに。
一人残された俺は、今の事実を受け入れられずに。
部誌の続きを書くことはおろか、立ち上がることすらできなかった。
to be continue…
***
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