* *


「……田島!!」
「…っ、…? …はない?」

学校、部室横のプール。
プールサイドの壁に寄りかかり、小さくうずくまるようにして座っていた。

急に俺が現れたことにひどく驚いているようだったけど、俺はチャリをその場で捨てて田島まで駆け寄った。
田島が放心してる隙に、逃げられないように強く抱きしめる。

「や、やっと、見つけた…っ!」

息がなかなか整わない。
疲れと安堵で、体がぶっ壊れちまったみたいに動かなかった。

「…はな、い? な、何で」
「ごめん!!」

「え…、え?」
「俺が悪かった。だから、別れるなんて、言わないでくれよ…!」

深呼吸を繰り返しながら、田島の耳元で強く懇願する。
田島はまだ状況が分かっていないのか、泣き腫らしたような赤い目は 空を彷徨っていた。

「…花井、これ夢?」
「…え?」

「だって、花井がこんなこと、言うわけねーもん…」
「田島…」

夢か現実か確かめるように、田島が弱弱しくぎゅっと俺に抱きついてきた。
それを受け止めるどころか、俺からも強く抱き返して。


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