「俺が、田島をもらう。花井、いいだろ?」
「……な、何で俺に聞くんだよ」

「一応な、元カレだし」
「元カレ、って……」

「うまくいく自信あるぜ。弱ってるトコを優しくするのが一番だからな。今から田島んトコ行ってくる」

そう言うと、手を離してさっさと歩き出してしまった。
このまま見過ごせば、もしかしたら田島は巣山のモノになるのか?

(…それでも、いいのかもしれない)

巣山はいい男だと思う。
頭だってイイし、冷静に物事を判断できて、でも情熱的な一面もあって。
どこか幼い田島には、もってこいの相手なのかもしれない。


(……けど!)



「……待てよ!」


歩いていく巣山を走って追いかけ、強引に肩を掴む。
振り向かせたその顔は、俺が思っていたものとは違く。

まるで、イタズラが成功したかのような笑顔だった。


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