「あの、…た、たじま君の、ことで話があっ」
「俺は話すことないから」

言い終わる前に突き放せば、元々潤んでいた目がさらに赤くなる。
今にも泣き出しそうな顔。
別に、お前が阿部と別れたわけじゃないのに、何でそんな顔してんだよ。

「お、俺は、あるんだっ!」

さらに腕を強く掴まれる。
それに、面倒ともイラつきとも判断できない黒い感情が、胸に渦巻いていく。

「はない君は、たじま君のこと、き、嫌いになった の…?」
「…だから、俺がフラれたんだっつーの」

忘れようと努力してるところに、傷口をえぐる様なこと言わせないでくれよ。
お前のような奴の言葉が、今は一番胸に突き刺さる。

「たじま君、はない君のこと、好きだ から。そんなこと、言うわけ、ない!」
「実際言われたんだから、しょうがねーだろ」

「ち、違うっ!」
「違くねーよ!!」

「たじま君は、いつも、いつでも、はない君の こと、好きだ もん!」
「お前に何が分かるんだよ!!」

「分かるっ! たじま君は、はない君のことっ」
「るっせぇよ! 何も知らねー奴が、分かったような口聞くんじゃねーよ!!」

「……っ!」

息を飲み、ビクッと体を震わせ…三橋の顔が更にくしゃくしゃになる。
自分でも言いすぎだ、と思ったけど。

マジで、もう放っといてくれ。


今の俺は、…最低、なんだから。


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