次々といなくなり、俺と三橋だけが部室に残る。
止まったまま動かない三橋のショックを、少しでも和らげようとして。

「…三橋、大丈夫か?」
「……ぅ、…ぁ…」

ただでさえ回転が遅い三橋の頭ん中は、ごっちゃになってるんだろう。
俺も、うまく整理できてないけど。

「……うそ、だ」

ようやっと搾り出した三橋の声は、震えていて。
それに、胸がツキンと痛む。

「うそ、だよね? あべ、くん。うそ、うそだ……」
「三橋……」

「うそだ、そんなの、って…」
「三橋、…しょうがねーよ。アイツらが決めたことなんだろうし」

「でも、だって…」
「周りがどうこう言える問題じゃねーからな…」

冷めてる考えかもしれないけど、実際そうだろ?
何があったか知らないけど…修復できない何かがあったんだろう、きっと。

「おれ、おれ…、話して来る」
「え?」

「はない君と、話す!!」
「え、おい三橋!」

三橋は勢いよく部室のドアを開け、走っていなくなった。

花井はたぶん、今頃職員室あたりにいるんだろう。
俺が監督に話しておく、と言ったけど、花井がやるって言うから。

一人部室に残った俺だったけど、開け放したドアから人影が見えた。
誰だ、と思ってると、それは帰ったと思っていた巣山で。

「阿部、ちょっといいか?」
「…ああ。何?」

「田島のことなんだけど―――」






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