「…わり、ちょっと泉興奮してるから、今日は連れて帰るわ」
「離せっ、このっ! 俺はまだ言い足りないんだっ!」
「分かった、分かったから。…じゃ、阿部。後はよろしく」
「あ、あぁ……」
何をよろしくすればいいのか分からねーけど、とりあえず返事しておく。そして、まだギャーギャー言う泉を引き摺るようにして、浜田と二人、いなくなった。
突然の出来事に、言葉を失くしてしまう。誰も何も言わない。信じられない、という顔をしながら。
この嫌な静寂を破ったのは、花井本人だった。
「…そーゆー事だから。別に、部活に支障はないし。気にすんなよな」
花井が気にしなくても、こっちが気にするっつーの。
それに、野球は9人いないとできないし。
「…部活、どうすんだ? 泉も田島もいねーぞ」
「………」
人数もだが、とてもじゃないけど部活する雰囲気じゃない。
水谷や栄口たちも、気まずそうにしてる。
今から部活しても、集中力に欠けてる今、ケガしてしまうかもしれない。
特に、三橋が。
さっきから呆然と突っ立ったまま、ぴくりとも動かない。
「…今日は解散しようぜ。俺から監督に言っとくから」
俺の提案に、皆も静かに頷く。
花井だけ、どこ見てるか分からなかったけど。
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