恋人同士のことには、俺は口出しできないけど。
目の前の田島を何とか泣き止ませたくて、どうしようかと考えていると…田島がまた逃げだそうと暴れだした。

「すやまっ、離せっ、てばっ…!」
「いーから、落ち着けって!」

「やーだー! も、ほっとけよっ…!」
「ほっとけるかよ!」

暴れて仕方ない田島を、仕方ないとぐいっと抱き寄せる。このまま闇雲に暴れて、ケガでもされたら大変だしな。
俺が急に抱きしめたのに驚いたみたいだったけど、それでもまだバタバタと暴れるのをやめない。

辛抱強く、疲れるのを待つか…と思った途端、田島の動きがピタっと止まった。
不審に思い、田島の顔を見ようと体を離そうとした所で、今度は田島からぎゅううって強く抱き返された。

それに、今度は俺が驚いたけど…声を殺しながら泣く田島を見て、せめて泣き止むまではこうしてようと。

俺も、抱きしめる腕に力を込めた。



* * *


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