Abe >>> Sakaeguchi SIDE:
* * *
水谷からのメール。
『早く週末にならないかな〜! らぶらぶしようねーv』
科学の実験の片付け中、こそっと見た内容に、思わず顔が綻ぶ。
楽しみにしすぎじゃないかな、水谷…。
何か、少しプレッシャーなんだけどな。
俺がニヤついてるのに、向かいの席に座ってる巣山が気づいて、実験台の下から足を軽く蹴られちゃった。
バレたのかな、と少し照れながら、授業終わりのチャイムで実験室を出た。
「水谷だろ」
「やっぱバレてたか」
「分かりやすい性格してんな、お前も」
「そうかなぁ?」
そう教科書でぽすっと頭を叩かれて。それに「痛いなぁー、もー」とか笑ってたら、廊下の向こうで見覚えのある姿を発見して、手を振る。
「おー、田島ー」
それに、一瞬驚いたようにこっちを見たのに…手は振り返されることなく、一気に駆け出していなくなってしまった。
「あれ…?」
いつもなら、手を振るどころかくっついてわーわーすんのにな。
ていうか、今の田島の顔…。
「目、腫れてたな、田島…」
巣山がポツリと呟く。
やっぱり、見間違いじゃないか。
田島がいなくなったその廊下の先に、たぶん泉だろう姿も見えたけど…泉も神妙な顔してるように見えた。
どうしたんだろう、あの二人。
やっぱり、何かあったのかな…?
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