「栄口の事は、俺がずっと面倒見るから。相沢は心配しなくていいよ」
「…心配なんかしてねーよ。お前らマジでバカ過ぎ。…お似合いだよ」
「ははは! …相沢、いろいろゴメンね。ありがとう」
「…謝んなよ。余計ミジメになるわ」
ははっと笑いながら、手で目を覆う。
泣いてはいないみたいだけど、見える口元は辛そうに歪んでいた。
「…じゃ、俺行くわ。もう時間だし」
「うん… 元気でね」
「あぁ、お前らもな。…言っとくけど、俺は昨日の事謝らないからな」
「え?」
「水谷、次は邪魔すんなよ。じゃーな」
「え! ちょ、ちょっと!」
驚く水谷をそのままに、はははと笑いながら、さっさといなくなってしまった。
それに二人でポカーンとしちゃったけど、どちらからともなく ふっと笑う。
「相沢め〜! まだ栄口の事諦めてないな!」
「ははは! からかわれたんだよ、水谷v」
「そうかな? だったらいいんだけど…」
「そうそうv」
相沢なりに、気を遣ったんだろうな。
声には出してなかったけど、背を向けながら『ごめん』って口が動いてた。
昨日の事は、本当にビックリしたし、怖かった。
それでもちゃんと見送る事が出来たのは、今までの相沢と過ごした時間もあったんだろうけど…やっぱり、水谷のおかげかな。
いがみ合って別れるなんて、寂しい終わりにならなくて良かったと思う。
…んー、やっぱり俺って、楽観的なのかもしれないなぁ。
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