* * *
「…で? 話って何だよ」
翌日、さっさと帰ろうとする相沢を呼び止めて、誰もいない化学室に連れてきた。
水谷も、俺の後ろに黙ったまま立っている。
ちゃんとバイバイしないと――その水谷の言葉を思い出して、小さく深呼吸した後、笑顔を作った。
「相沢。向こう行っても元気でね」
「……は?」
「レベル高いんでしょ? まぁ、相沢の成績なら…」
「ちょ、ちょっと待てよ! 話って、ソレかよ!?」
ビックリしながら、言葉を遮ってきた。
それもそうだろう。
たぶん、俺と水谷に責められると思ったんだろうから。
もちろん、昨日の事を許したわけじゃないけど…
それでも、今まで相沢と過ごした時間は楽しかったし、感謝する事もたくさんあるから。
巣山に昨日の事を言う気もないし、今でも友達だと思ってると伝えたら、相沢が信じられないって顔で驚いてる。
口、開け過ぎだって。
「…お前、マジでバカかよ。普通、あんな事されたら罵倒したりするだろ?」
「ははは、本当にそうだよね」
「えぇ〜…?」
「…相沢。2回も殴ってゴメンね」
「え?」
「口の中切れてない? ちょっと加減できなかったよ」
続いて水谷が話しかけると、相沢の顔がもっとポカーンってなった。
その表情が面白くて、つい笑っちゃったよ。
[*prev] [next#]
6/10
【目次・SR・TOP】