* * *


「…で? 話って何だよ」

翌日、さっさと帰ろうとする相沢を呼び止めて、誰もいない化学室に連れてきた。
水谷も、俺の後ろに黙ったまま立っている。

ちゃんとバイバイしないと――その水谷の言葉を思い出して、小さく深呼吸した後、笑顔を作った。

「相沢。向こう行っても元気でね」
「……は?」

「レベル高いんでしょ? まぁ、相沢の成績なら…」
「ちょ、ちょっと待てよ! 話って、ソレかよ!?」

ビックリしながら、言葉を遮ってきた。

それもそうだろう。
たぶん、俺と水谷に責められると思ったんだろうから。

もちろん、昨日の事を許したわけじゃないけど…
それでも、今まで相沢と過ごした時間は楽しかったし、感謝する事もたくさんあるから。

巣山に昨日の事を言う気もないし、今でも友達だと思ってると伝えたら、相沢が信じられないって顔で驚いてる。
口、開け過ぎだって。

「…お前、マジでバカかよ。普通、あんな事されたら罵倒したりするだろ?」
「ははは、本当にそうだよね」

「えぇ〜…?」
「…相沢。2回も殴ってゴメンね」

「え?」
「口の中切れてない? ちょっと加減できなかったよ」

続いて水谷が話しかけると、相沢の顔がもっとポカーンってなった。
その表情が面白くて、つい笑っちゃったよ。


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