「…さっき、怒鳴ってゴメンね。栄口が目の前で襲われてるの見て、カーッてなってたから…」
「…ううん、だって俺が…」
「栄口は悪くないよ。だから、余計に歯痒いっていうか…」
「水谷…」
深く抱き込まれてたのが少し離れて、切ない顔で頬を撫でられた。
その手に自分の手を重ねて、水谷を見つめ返す。
水谷からの視線には、いつも温度がある気がする。
俺を大事に想ってくれるのが伝わってきて、ぎゅって胸が締め付けられた。
「…水谷が、そうやって甘やかすから。俺はどんどんワガママになるんだよ」
「え?」
「自分でも分かってるんだ。他の人にはそんな事ないのに、水谷だって思うと甘えてワガママ言って頑固になって、素直になれなかったりして…」
少し拗ねた感じで言うと、水谷の雰囲気がぱぁっと明るくなった。
照れるようにして抱き着いてきたけど…え、何で喜んでるの?
「それって、俺が特別だからでしょ? いいの、栄口のワガママは可愛いからv」
「…良くないよ。これじゃ、水谷がいないとダメになっちゃうじゃん」
「だから、それでいいんだって。俺がいないとダメになってよ」
「え…?」
ふっと至近距離で笑う水谷がカッコ良すぎて、心臓がドクンと飛び跳ねた。
え、えーと…水谷は何て言ったんだっけ…?
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