「…だから、言ったのに。頭に血が上ってるから、帰るって」
「…ごめぇ…、ごめんなさ…!」

「もういいって。ほら、いっぱい泣くと目が腫れちゃうから…」
「うぅ〜…!」

全然泣き止むことが出来ない俺に、水谷がクスッと笑ったのが聞こえた。
背中をあやすように撫でてくる手が、すっごく暖かくて優しくて…もう、これにだって泣けてきちゃうよ。

「後で、阿部にお礼しないとね」
「…あ、あべ…?」

「そう。阿部からメール来たんだ。『お前の予想、大当たり』って」
「よそう…?」

水谷が携帯を取り出して、受信画面を見せてくる。
確かに、送信先が阿部になってて、『1組で絶賛浮気中』ってタイトルまでついてた。
 
「う、浮気じゃ…!」
「はは、分かってるって」

…阿部が、水谷に教えてくれたんだ。
そういえばあの時、携帯をいじってたのは、このメールを…?

「阿部、俺の事、どうでもいいのかと、思ってた…」
「…たぶん、俺が助けた方がいいと思ったんだよ。阿部も、実は気にしてたから」

「気に…?」
「うん。それに…『痛い目見ないと分からないタイプ』って言ってたから。わざとだと思うよ」

そ、そんな事言ってたのか…
阿部の言葉が、胸にグサッと突き刺さる。

俺って、みんなにどんな目で見られてたんだろう…


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